場面4「やったことを、残して引き継ぐとき」 2/27本目
3つのAIが互いの資料を読めない時は、共通の置き場を1つ作る
教科書でいうと → 第7章「会社の第2の脳」(解説動画つき)
AIを2つ、3つと増やしていくと、ぶつかる壁があります。それぞれのAIが、お互いの資料を読めないのです。僕も、2026年の2月にこの壁にぶつかりました。この記事では、共通の置き場を作って乗り越えた経緯と、今から始める社長が真似できる進め方を書きます。
3つのAIが、別々の場所にいた
2026年の2月、僕はManus、Claude Desktop、Google Antigravityの3つのAIを分業させる設計を作りました。役割の違う3つのAIを、それぞれ得意なことに当てるためです。ところが、3つのAIは、互いのファイルを読めませんでした。橋渡しが必要でした。
理由は、置き場所の違いです。Manusはクラウドで動き、ClaudeとAntigravityは、手元のパソコンで動きます。そのうえ、Claude Desktopは、パソコンの中のファイルに、直接アクセスできない場面がありました。そこで、Notionを共通の置き場にして、そこを経由する迂回ルートで対応しました。
共通の広場があれば、分業ができる
分かったのは、AIどうしが話せなくても、共通の広場があれば分業できる、ということです。AIに名前と役割を与えて分業させる運用は、ここから始まりました。置き場さえ1つに決めておけば、どのAIも、そこに書いて、そこから読めます。
今日から真似できる手順
特定の道具に頼らず、考え方を書きます。
1. AIごとに、動く場所を書き出す
クラウドで動くのか、手元のパソコンで動くのかを、AIごとに確かめます。場所が違うAIどうしは、直接ファイルを渡せないと考えておきます。
2. 共通の置き場を、1つに決める
NotionでもGoogleドキュメントでも、全部のAIが読み書きできる場所を、1つ選びます。置き場が2つ以上あると、どれが最新か分からなくなります。
3. 役割と、読み書きのルールを決める
「このAIは書く」「このAIは読むだけ」と、役割を決めます。同じページを2つのAIが同時に書き換えると、内容が混ざるからです。
4. 小さな資料で、1往復試す
最初は、短い文書で、あるAIが書いたものを、別のAIが読んで答えられるかを試します。うまくいけば、少しずつ資料を増やしていきます。
役割に名前を付けると、迷いが減る
AIに、役割を表す名前を付けると、頼む側も迷いにくくなります。「調べるAI」「書くAI」「確かめるAI」のように、一言で役割が分かる名前にします。名前があれば、スタッフに説明するときも、「確かめるAIに聞いて」と伝えるだけで通じます。また、AIを替えたくなったときも、役割の名前を引き継げば、新しいAIにも同じ仕事を任せられます。
広場に、最初に置くもの
共通の置き場を作ったら、最初に置くものを決めておきます。おすすめは、3つです。1つ目は、全員が読む「約束事」のページで、守ってほしいルールと用語の意味を書きます。2つ目は、「いまの作業」のページで、誰が何をやっているかを書きます。3つ目は、「引き継ぎ」のページで、AIが替わったときに最初に読む説明を書きます。この3つがあれば、新しいAIを加えたときも、最初にそのページを読ませるだけで、事情が伝わります。僕も、AIに役割を与えて分業させる運用を始めたとき、まず約束事のページから整えました。
ローカルのAIが、読めない時の迂回
手元のパソコンのAIが、ファイルに直接アクセスできないことがあります。そのときに、むりに許可を広げようとすると、安全面の不安が出ます。僕は、権限を広げるのではなく、共通の置き場を経由する迂回を選びました。AIが読める場所に、必要な資料だけをコピーして置く形です。迂回は、遠回りに見えて、実は安全で確実な道です。見せたい資料だけを選んで渡せるからです。
分業の、うまくいかない例
分業の仕組みは、最初からうまく回るわけではありません。よくある失敗は、2つあります。1つ目は、役割が重なることです。2つのAIが、同じことをそれぞれやってしまい、結果が食い違います。役割は、「これは、このAIだけがやる」と、はっきり分けます。2つ目は、置き場が散らかることです。AIがどんどん書き込むうちに、ページが増えて、どこに何があるのか分からなくなります。置き場の整理も、役割の1つとして誰かに任せます。うまくいかないときは、作りすぎたことを疑って、まず減らす方向で見直してください。
気をつけること
共通の置き場には、お客様の情報や鍵を置かないでください。複数のAIが読めるということは、漏れる場所が増えるということでもあります。また、置き場が整理されていないと、AIが古い資料を読んで答えます。更新日を書く、古いものは別の場所にしまう、といった整理を習慣にします。
今から始める社長へ
AIが増えて、互いに話せなくなったら、仲間はずれにするのではなく、広場を作ってください。最初は小さな置き場1つで十分です。まずは、いま使っているAIが、どこで動いているのかを、書き出してみましょう。