場面4「やったことを、残して引き継ぐとき」 3/27本目
AIが同じエラーを毎回踏むなら、正解の手順をAIに書き残させる方法
教科書でいうと → 第3章「困った画面を自分で解決する」(解説動画つき)
AIに作業を頼むと、毎回同じ所でエラーが出る。何度かやり直して、ようやく正解にたどり着く。次の日に同じ作業を頼むと、また同じエラーから始まる。2026年の初め、僕はこの繰り返しに付き合っていました。その繰り返しをどう止めたのか、そして社長が明日から使える頼み方を紹介します。
毎回、3〜5回エラーを踏んでいた
当時、僕は1体目のAIに、ホワイトボードへの接続を頼む場面がよくありました。ところが、この接続がすんなり通らない。毎回3〜5回はエラーを踏んで、ようやく正解にたどり着く。そんな状態でした。
一度つながってしまえば、作業は進みます。けれど、次に同じ接続を頼むと、AIはまた最初から試し始めます。前回どうやって通ったのかを覚えていないので、同じ壁に何度もぶつかるのです。同じ作業なのに、毎回同じ遠回りをしている。そこが引っかかっていました。
正解の手順を、AIに書き残させた
そこで僕は、AIにこう頼みました。壁にぶつかりながら正解を探すのではなく、正解の手順をスキルにしておいてほしい、と。そのときの僕の言葉は、「壁にぶつかりながら正解を探すんじゃなくて」でした。
ここで言うスキルは、AIが決まった作業をするときに読む手順書のような物です。一度通った正解のやり方を、AI自身に書き残させておく。次に同じ接続をするときは、その手順書を読んでから始めてもらう。毎回手探りで正解を探す代わりに、最初から正解の道を歩いてもらう形に変えたのです。
何が分かったのか
分かったことは2つあります。
1つ目は、同じ操作を繰り返していると気づいたら、AIに手順化させるということ。人の仕事でも、毎回同じことで迷う作業は、手順書にしておけば迷わなくなります。AIも同じでした。しかも、その手順書を書くのもAIに任せられます。
2つ目は、AIがループしていたら、いったん止めさせるということ。エラーを踏んでは試し、また踏んでは試す。この状態が続くときは、そのまま見守っていても抜け出せないことがあります。一度止めて、何が起きているのかを整理させるほうが、結果として早く進みます。
今日から真似できる手順
同じ遠回りを減らすための段取りです。手順書の置き方や呼び名は道具ごとに違い、画面も変わっていくので、置き場の決め方と頼み方の考え方として読んでください。
1. 同じ所でつまずく作業に、印を付ける
まずは、AIに頼む作業の中で、毎回同じ所でエラーが出る物を探します。メモ帳に「この作業は毎回つまずく」と1行書いておくだけで構いません。2回、3回と同じことが起きたら、手順化する合図です。
2. うまく通った直後に、手順を書かせる
AIが試行錯誤の末に正解にたどり着いたら、その場で頼みます。
- 今うまくいったやり方を、次回のために手順書にまとめてほしい
- 途中で失敗したやり方と、その理由も書いておいてほしい
- 次回はこの手順書を読んでから始められるように書いてほしい
うまくいった直後が、いちばん正確に書き残せるタイミングです。時間がたつと、AIも人も細かい所を忘れてしまいます。
3. 手順書を決まった場所に保存する
書かせた手順書は、決まったフォルダに保存します。フォルダの名前は「手順書」のように、見ればすぐ分かる名前にしておきます。ファイルの名前も「ホワイトボード接続の手順」のように、何の作業かが分かる名前にします。
4. 次回は、手順書を読ませてから頼む
次に同じ作業を頼むときは、「手順書フォルダの接続の手順を読んでから始めて」と一言添えます。それでもまたエラーが出たら、その時点で手順書を直してもらいます。こうして直しを重ねるうちに、手順書が育っていきます。
5. 手順書に入れる項目を決めておく
AIに書かせる手順書は、長くなくて構いません。ただ、次の項目が入っていると、次回の作業が楽になります。
- 何の作業か:一言で、この手順書が何のためにあるのか
- 始める前に確かめること:つながる先や、必要な準備がそろっているか
- 正解の手順:上から順に、番号を付けて
- 踏みやすいエラーと、その時の対処:前回つまずいた所と、どう抜けたか
- うまくいったかの確かめ方:どうなっていれば成功か
特に「踏みやすいエラー」の欄は大事です。正解の手順だけを書くと、少し条件が違ったときにまた手探りに戻ってしまいます。どこで、どんなふうにつまずいたかが残っていれば、同じ壁の前でAIが自分で回り道を選べます。
手順書ができたら、社長も一度目を通しておきます。細かい中身まで分からなくても構いません。何の作業の手順書がどこにあるかを社長が知っていれば、次に頼むとき「あの手順書を使って」と言えます。社員にAIの作業を任せるときにも、この手順書がそのまま引き継ぎの資料になります。
ループしたときの止め方
AIが同じエラーを何度も繰り返しているときは、次のように止めて整理させます。
- いったん作業を止めて、と伝える
- ここまでに試したことと、それぞれの結果を一覧にしてもらう
- 同じことを繰り返していないかを、AI自身に確かめてもらう
- 次に試すことを1つだけ挙げてもらい、社長が見てから進める
止めることは、失敗ではありません。走り続けるAIに、立ち止まって振り返る時間を作ってあげる。それが、人が付いている意味の一つです。
今から始める社長へ
AIは、何も言わなければ前回のことを覚えていないことがあります。だから、同じ所でつまずく作業は、正解の手順をAIに書き残させておく。これだけで、毎回の手探りから抜け出せます。
最初の1本は、いちばんよく使う作業から始めてみてください。手順書が1本たまるごとに、同じ遠回りが1つ減っていきます。