ニタ|ひとり社長の軽トラDX

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場面5「複数のAIや仕組みで、回していくとき」 6/40本目

AIに金額の書類を丸ごと作らせるのは、まだ早い——先に時短から始める

過去の書類をAIに読み込ませれば、新しい書類も自動で作ってくれる。そんな期待を持って、試してみたことはありませんか。僕は2026年の1月に、お客様へ出す金額の書類をAIに作らせる案を検討して、見送りました。この記事では、なぜ見送ったのか、代わりに何を先にしたのかと、今から始める社長がAI活用の優先順位を決める手順を書きます。

過去の書類をAIに食べさせる案を、見送った

検討した内容は、こうです。これまでに作った金額の書類を、AIに読み込ませて、新しい案件の書類を作らせる。うまくいけば、担当者の作業がなくなるはずでした。

でも、僕が出した判断は、「まだあんまり現実的ではない感じです」というものでした。理由は、AIに金額の書類を作らせるのは、時間がかかりすぎることです。過去の書類を整理して、AIに読める形にして、出てきた結果を確かめる。その手間をかけても、安定して使えるところまで、まだ遠いと感じました。

先にやったのは、担当者の時短と、人を選ばない形づくり

そこで、順番を変えました。先にやるのは、担当者の作業の時短と、他の人でもできる形にすることです。AIに丸ごと任せる前に、今の作業の中で、手間のかかっている部分を減らす。それを、誰が担当しても同じようにできる形にする。この順番なら、AIの力を借りる場面も、小さく確実に作れます。

大きな目標を、いきなり実現しようとしない。小さな時短を積み重ねる。これが、現実的に成果を出す近道だと、このとき判断しました。

時短から始めると、AIの使いどころが見えてくる

「AIに全部やらせたい」と考えると、どこから手を付けていいか分からなくなります。一方、「この作業の、この10分を減らしたい」と考えると、頼む内容が具体的になります。具体的な依頼は、AIも答えやすく、結果の確認もしやすい。結果として、成功の経験が早く積み上がります。

成功の経験が増えると、社内の人もAIを使うことに前向きになります。逆に、大きな期待を掲げて失敗すると、AIそのものが「使えないもの」と見られてしまいます。最初の一手は、小さく、確実に成果が見えるものを選ぶ。僕が時短を先にしたのは、そういう意味もありました。

今日から真似できる手順

自社でAIを使う場面を選ぶときの、考え方を4つの手順にしました。

1. 手間のかかっている作業を、時間つきで書き出す

担当者に聞いて、いちばん時間のかかっている作業を3つ書き出します。「1回何分かかるか」「週に何回あるか」も添えます。時間が分かると、AIで減らす価値のある作業が見えてきます。

2. 丸ごと任せず、一部だけ任せる

最初から全部をAIに任せず、作業の一部だけを頼みます。たとえば、書類の下書きの文章だけ、数字の見直しだけ、といった形です。小さな範囲なら、失敗しても、影響が小さく済みます。

3. 担当者が変わっても同じにできる手順にする

作業の手順を、人が代わっても同じ結果が出る形で、書き残します。AIへの指示文も、一緒に保存します。人を選ばない形になっていれば、のちにAIの力を大きく使うときも、土台になります。

4. 数か月後に、もう一度AIに任せられるか見直す

今は現実的でないと判断した作業も、数か月後には、AIの進歩で状況が変わっているかもしれません。見送った理由をメモに残して、定期的に見直します。

気をつけること

お客様に出す金額の書類は、間違いが信用に直結します。AIが作った数字は、そのまま出さず、人の目で確認する決まりにします。また、過去の書類には、お客様の名前や取引条件が含まれます。AIに読ませる範囲は、先に決めておきましょう。

見送る判断も、立派な成果

AIに任せない、という判断をすると、遅れを取っているように感じることがあります。でも、見送る判断は、仕事の優先順位をつけた結果です。自社の状況で、今いちばん効果の大きい所に力を使う。それが、AI活用の本質だと思います。流行や周りの動きより、自社の作業の実態を見て決める。その姿勢が、遠回りを減らします。

見送りの理由を、書き残しておく

見送った案は、忘れてしまうと、同じ検討を何度も繰り返すことになります。「いつ、何を検討して、なぜ見送ったか」を、3行ほどで残しておきます。たとえば、こんな形です。日付、検討した内容、見送った理由。それだけです。

半年後に読み返すと、状況が変わっている点が見つかります。そのとき、前回は何が壁だったかが分かっていれば、再挑戦の判断が早くなります。見送りの記録は、次の一手を考える材料にもなります。

今から始める社長へ

AIで何でもできるように見えても、今の自社で現実的に使えるのは、その一部です。まずは、担当者の手間を一つ減らす小さな時短から始めてください。それが積み重なると、大きな仕組みを作る土台にもなります。