ニタ|ひとり社長の軽トラDX

家 › AI家庭教師の部屋 › 第7章 › 記事

場面4「やったことを、残して引き継ぐとき」 5/27本目

AIで作った原稿のどれが最新版か分からない——1つにまとめて置き場を決める

AIに原稿を直してもらっているうちに、似たファイルがいくつも増えていく。いざ使おうとしたとき、どれが最新版なのか分からない。そんな経験はありませんか。僕も、本の原稿でまさにこの状態になりました。この記事では、そのときの迷いと、最新版を1つに決めるための手順を書きます。

2つのAIの意見が分かれた日

2026年の2月の終わり、Kindle本の最終稿を見直していました。見直しは、2つのAIに頼んでいました。1つは、原稿を書く役を任せていた書き役のAI。もう1つは、Claude Desktopに任せていた監査役のAIです。

ところが、この2つの意見が分かれました。同じ原稿を見ているのに、2つの言うことが食い違うのです。そのうちに、どのファイルが最新版なのかも分からなくなりました。当時の僕は、こう漏らしています。

「意見が分かれたらどっちを信用したらいいんだろうか」

AIを2つ使うと、見落としは減ります。けれど、その分、判断する材料が増えて、迷う場面も増えるのです。

自分の目で見て、1つにまとめた

迷った末に、僕はAIの言葉だけで決めるのをやめました。Obsidianというメモの道具で、原稿のファイルを直接表示して、自分の目で中身を確かめたのです。AIの説明ではなく、ファイルそのものを見て確かめる。迷ったときに頼れたのは、この一手でした。

そのうえで、どれが最新版かを、AIに共有のメモへ記録させました。さらに、章ごとにばらばらだった原稿を、全章まとめて1つのファイルにしました。ファイルが1つなら、どれが最新かで迷うことはありません。

今日から真似できる手順

ここからは、同じ迷いを防ぐための手順です。使う道具や画面は会社ごとに違い、これからも変わるので、考え方として読んでください。

1. 正本の置き場を1か所に決める

最新版を置く場所を、1か所だけ決めます。例えば「原稿」というフォルダを1つ作り、最新版はそこにしか置かない、と決めます。古い版を残したいときは、別のフォルダに移しておきます。同じ場所に新旧が並ぶと、迷う原因になります。

2. ばらばらの物は1つのファイルにまとめる

章ごと、項目ごとに分かれていると、どれかだけ古いまま残りやすくなります。可能なら、1つのファイルにまとめます。AIに「これらのファイルを、章の順番どおり1つにまとめて」と頼めば、まとめる作業は任せられます。まとめた後は、章の数と見出しの並びだけ自分で目を通します。抜けた章や、同じ章が2回入っていないかを見るためです。1つにまとまっていれば、AIに見直しを頼むときも、そのファイルを1つ渡すだけで済みます。

3. 最新版の記録を、1行で残す

どれが最新版かを、メモに1行で残します。「原稿の最新版は、原稿フォルダの全章まとめのファイル。最後に直した日はこの日」のような短い記録で十分です。AIにも、直すたびにこの1行を書き直してもらうよう頼んでおくと、迷いが減ります。AIを2つ使っているなら、2つとも同じ記録を見るようにしておきます。片方だけが古い版を見ている、というずれを防げます。

4. 迷ったら、ファイルを自分の目で開く

AIの意見が分かれたら、どちらかの説明を信じる前に、ファイルそのものを開いて確かめます。中身と保存した日付を見れば、どれが新しいかは自分で判断できます。AIの言葉は助言として聞き、最後の確認は自分の目でする。この順番にすると安心です。ファイルを開くのは、パソコンの普段のメモ帳でも、Obsidianのようなメモの道具でも構いません。AIの画面の外で、ファイルそのものを見ることが大事です。

古い版の扱いと、名前の付け方

最新版を1つに決めても、古い版を全部消すのは不安だと思います。僕も、直す前の版を手元に残しておきたい気持ちはよく分かります。そこで、古い版は消さずに、置き場を分けて残します。

  • 正本のフォルダの中に「古い版」というフォルダを1つ作る
  • 直す前の版は、その中に移す。正本のフォルダには最新版だけを置く
  • 古い版のファイル名の頭に、直した日付を付けておく

ファイル名に「最新」「最終」「完成」と付けるのは避けたほうが無難です。最終版を直すと「最終2」「本当の最終」と増えていき、かえって迷う原因になります。正本の名前は変えずに中身を上書きし、古い版にだけ日付を付ける。この決め方なら、正本はいつも同じ名前で同じ場所にあり、AIに渡すときも迷いません。

意見が割れたときの考え方

2つのAIの意見が分かれるのは、悪いことではありません。違う目で見ているからこそ、片方が見落とした所をもう片方が拾うことがあります。

ただし、意見が割れたまま原稿を直し続けると、版がどんどん増えます。片方の意見で直した版と、もう片方の意見で直した版が並ぶと、どちらを元に進めるかでまた迷います。そうならないために、次のことを決めておくと迷いません。

  • 最後に決めるのは自分だと決めておく。AIはどちらも助言役です
  • 直す前に、どの版を元に直すのかをAIに伝える
  • 直し終わったら、正本の置き場に上書きし、記録の1行も更新する

今から始める社長へ

AIに頼る場面が増えるほど、ファイルは増えていきます。最初のうちは気にならなくても、ある日突然、どれが本物か分からなくなります。特に、AIを2つ以上使い始めた頃が、いちばん迷いやすい時期です。

だから、使い始めの段階で、正本の置き場を1つに決めてください。迷ったときは、AIの説明より先にファイルを開く。置き場と確かめ方さえ決まっていれば、AIを2つ使っても振り回されずに済みます。