場面6「AIに任せる範囲を、決めていくとき」 31/36本目
お客様の情報は堅牢な道具に置き、AIには会社の物語だけ持たせる。不安への答え方
教科書でいうと → 第14章「AIと働く約束ごと」(解説動画つき)
AIを会社に入れたいが、お客様の情報が漏れないか心配だ。そう言われる社長は、少なくありません。この記事では、僕が2026年に整理した、データの置き場とAIの役割の分け方を、社長向けにまとめます。
企業にはセキュリティを強く言われる
企業に提案すると、セキュリティについて、強く質問されます。「AIに乗っ取られたらどうするのか」と聞かれることもあります。2026年3月10日、僕は、この質問に答えられる形で説明すると決めました。
AIには「外側」を任せる
僕の組み立ては、こうです。お客様の情報は、堅牢な道具に置きます。AntigravityやClaude Codeのような、AIの道具には、会社の物語や、社長の思いだけを持たせます。つまり、AIは、サイトという「外側」と、発信に使います。実際のデータは、守りのしっかりした道具に置くのです。この分け方で、「AIで乗っ取られたら」という不安に、答えられる形になりました。
土台のデータベースは要る
2026年5月31日、僕は、さらに整理を進めました。AIが万能でも、土台のデータベースは要ります。データベースは、かっちりしていて、セキュリティもしっかりしています。AIですべてを組むと、個人でリスクを負うことになります。だから、土台は堅牢な道具に任せ、AIで設定を手伝う仕事が成り立つ、と見えました。
社長が自社で考える手順
ここからは、社長が自分の会社で考える手順の提案です。
1. 情報を3つに分ける
会社の情報を、「公開してよい物」「社内だけの物」「お客様の個人情報や取引の情報」の3つに分けます。
2. AIに渡す範囲を決める
AIに渡してよいのは、公開してよい物と、社内の考え方のうち、外に出ても困らない物だけにします。
3. お客様の情報の置き場を決める
お客様の個人情報は、アクセスの記録が残り、権限を細かく設定できる道具に置きます。表計算の1枚のファイルに、すべてを置くのは避けます。
4. 例外を紙に書く
AIに個人情報を渡す必要が出たら、誰が許可するか、何を伏せるかを、紙に書いておきます。
会社の物語とは何か
AIに持たせる「会社の物語」は、創業の思い、大切にしている考え方、お客様に伝えたい価値のことです。こうした情報は、公開してもよい内容が多く、AIが文章を書くときの軸になります。社長の思いが入ると、AIの文章が、その会社らしくなります。
質問に答える言い方
お客様や取引先に聞かれたときは、「お客様の情報は、専用の道具で守っています。AIには、会社の考え方だけを渡しています」と、短く答えられます。この一言があるだけで、相手の不安は、かなり小さくなります。
よくある疑問:AIは、勝手に情報を読みませんか
AIが読める範囲は、つないだ道具と、渡した資料だけです。つなぐ範囲を、先に絞っておけば、読めない情報は読みません。つなぐときは、「読むだけ」の権限から始めるのがおすすめです。
見直す日を決める
データの置き場は、1度決めて終わりではありません。半年に1回、AIに渡している情報を見直します。便利さに引きずられて、渡す範囲が広がっていないかを、確かめてください。
渡す情報の例と、渡さない情報の例
AIに渡してよい情報の例は、会社の沿革、サービスの考え方、公開しているお知らせです。渡さない情報の例は、お客様の名前と連絡先、契約の中身、口座の情報です。一覧にして、壁に貼っておくと、社員も迷いません。
取引先への説明の用意
取引先から聞かれたときのために、説明を1枚にまとめます。「どの情報を、どの道具で守っているか」「AIにはどこまで渡しているか」を書きます。聞かれる前に出せると、信頼につながります。
事故が起きたときの連絡先
万が一、情報が外へ出てしまった場合の連絡先を、決めておきます。誰が最初に気づき、誰に伝え、お客様へどう連絡するかの順番です。決めておけば、慌てずに動けます。
道具を変えるときの注意
データを置く道具を変えるときは、移す前に、中身の一覧と控えを作ります。移したあとで、件数が合っているかを確かめます。AIの道具は変わっても、データの置き場は、安定して守ります。
外部の道具を選ぶときの質問
データを置く道具を選ぶときは、「データはどの国に保存されるか」「誰が見られるか」「記録は残るか」を、販売元に聞きます。答えが分かりやすい会社ほど、安心して任せられます。
社内の理解を揃える
社員が、AIにどこまで渡してよいかを知らないと、善意の事故が起きます。月に1回、10分の勉強会を開き、事例で確かめます。事例は、実際にあった失敗を、名前を伏せて共有するのが効果的です。
気をつけること
安全の考え方は、会社の規模や業種で変わります。個人情報を多く扱う会社は、専門家にも相談してください。僕の整理は、AIを提案するときの説明の組み立てであり、法律の助言ではありません。
今から始める社長へ
会社の情報を、3つに分けて書き出してみてください。AIに渡してよい情報が分かると、安心して使い始められます。