場面5「複数のAIや仕組みで、回していくとき」 31/40本目
英語だけのチャットボットは、日本語で受けて英語の資料で答え、日本語で返す
教科書でいうと → 第16章「業種の仕事に当てはめる」(解説動画つき)
お客様向けのチャットボットを入れたい。でも、使いたい道具のチャットボットは、全部英語で動く。そんな状況で、あきらめてしまうことはありませんか。この記事では、僕が2026年の5月に試した、英語だけのチャットボットを、日本語で動かした方法を、社長向けにまとめます。
サポート用のチャットボットが、すべて英語だった
2026年5月20日、僕は、使っている業務の道具のサポート用チャットボットを、日本語で動かしたいと考えました。ところが、そのチャットボットは、全部英語でした。資料も英語、答えも英語です。日本のお客様や受講生には、そのままでは使ってもらえません。
「日本語→英語→日本語」の指示文
僕が考えたのは、指示文の中で、こう決めることでした。まず、日本語の質問を、英語に訳す。次に、英語の資料で答えを探す。最後に、答えを日本語に戻して返す。この考えの元には、ChatGPTなどのAIも、見えない内部では英語で動いているのではないか、という見方がありました。結果は、返答が少し遅くなりましたが、日本語で動くようになりました。
自分の仕事で試す手順
1. 資料を、英語のまま用意する
答えの元になる資料は、無理に日本語にせず、英語のまま使います。翻訳の手間が減り、元の情報が、そのまま残ります。
2. 指示文に、3つの段階を書く
指示文に「質問が日本語の場合は、英語に訳してから資料を探し、答えを日本語にして返してください」と書きます。段階を、番号つきで書くと、守られやすくなります。
3. 日本語の質問で、10問ほど試す
実際にお客様から出そうな質問を、日本語で10問ほど入れて、答えを確かめます。意味の取り違えがないかを、見ていきます。
4. 間違った答えは、指示文に足す
変な答えが返ってきたら、その質問と正しい答えを、指示文に足します。数回直すと、答えが安定してきます。
返答が遅くなる点
訳す作業が増えるので、返答は、少し遅くなります。お客様が待てる範囲かを、実際に試して確かめます。急ぎの質問が多い窓口には、向かないかもしれません。
向いている場面と、向かない場面
資料が英語で、日本語の資料を作るのが大変な場面には、向いています。一方、契約や条件の説明のように、言い間違いが許されない内容は、日本語の資料を作って、そちらを元にするのがおすすめです。
よくある疑問:翻訳は正確ですか
固有名詞や専門用語は、訳し間違いが起きることがあります。重要な用語は、英語と日本語の対応表を、指示文に入れておきます。たとえば「Appointment は、予約と訳す」のように、決めておくと安定します。
社内で使う前に
お客様に出す前に、まず社内の人に使ってもらいます。使った人の感想と、変な答えを集めて、指示文を直します。2週間ほど試してから、お客様に出すのがおすすめです。
指示文の書き方の例
指示文は、箇条書きで、短く書きます。次の4行です。
- 質問が日本語なら、英語に訳す。
- 英語の資料の中から、答えを探す。
- 答えを、日本語にして返す。
- 資料に無いことは、分からないと答える。
4行目の「資料に無いことは、分からないと答える」が、特に大切です。この一行がないと、AIは、資料にない内容を、それらしく作ってしまうことがあります。
日本語の資料を足していく
最初は、英語の資料だけで始めますが、よく聞かれる質問が見えてきたら、その部分だけ、日本語の答えを用意します。日本語の答えがある質問は、翻訳を通さずに、すぐ返せます。遅さが気になる質問から、順に日本語の答えに置き換えていくのがおすすめです。
お客様に、ボットだと伝える
チャットボットが答えていることは、お客様に伝えておきます。最初のあいさつに「自動で答える窓口です」と一言入れます。そのうえで、人に相談したいときの連絡先も、一緒に示します。お客様が困ったときの逃げ道があると、安心して使ってもらえます。
試しに動かす間の、記録の取り方
試験運用では、質問、AIの答え、人の判定を、1行ずつ表に残します。判定は「そのまま出せる」「直せば出せる」「出せない」の3段階です。「出せない」の割合が、2割を下回るまで、お客様には出さないと決めておくのがおすすめです。割合の目安は、会社の事情に合わせて決めてください。
画面に出す、一言の案内
チャットボットの画面には、「日本語でご質問ください」と、一言書いておきます。お客様が、どの言葉で質問してよいか迷わなくなり、問い合わせの入口が、はっきりします。あわせて、返答に少し時間がかかることも、一言添えておくと、待つ間の不安が和らぎます。
気をつけること
チャットボットの答えは、お客様に対する説明です。間違っていたときの責任は、会社にあります。答えられない質問には「担当者に確認します」と返す決まりを、指示文に入れておいてください。
今から始める社長へ
英語の資料しかない場合でも、まず、日本語の質問を3つ入れて、試してみてください。日本語で答えが返ってくれば、お客様に出せる形まで、あと少しです。