場面2「AIへの頼み方・聞き方で迷うとき」 2/49本目
AIへの一言の指示で出来が弱いとき、指示文そのものをAIに考えさせるやり方
教科書でいうと → 第13章「頼み方を型にする」(解説動画つき)
AIに頼んでみたけれど、返ってきた物がどうも物足りない。そんな経験はありませんか。こちらの言いたいことは伝えたつもりなのに、出来上がりは薄くて、使える形になっていない。僕もAIで物を作り始めた頃、まさにここで止まっていました。その壁を越えるきっかけになった「二段構え」のやり方を、手順に分けて紹介します。
一言の指示では、出来がしょぼかった
2025年の夏、僕はAIに話しかけて画面を作らせる、いわゆるバイブコーディングを少しずつ試していました。使っていたのはGensparkです。作りたい物を一言で伝えて、AIに形にしてもらう。そんな頼み方をしていました。
ところが、出てくる物がしょぼい。Gensparkだけでやっていると、どうしてもそこから先へ進めなかったのです。
今振り返ると、道具が悪かったというより、僕の頼み方が一言で終わっていたのが原因でした。何を作りたいのか、誰が見るのか、どんな見た目にしたいのか。そういう中身を、ほとんど伝えていなかったのです。
指示文をChatGPTに考えさせてみた
そこで試したのが、指示文そのものをAIに考えさせることでした。いきなり作らせるのではなく、まずChatGPTに「良いプロンプトを考えて」と頼む。ChatGPTが組み立てた指示文を、そのまま作る側に投げる。
これをやってみると、出てきたHTMLの出来がまるで違いました。同じ作りたい物なのに、指示文を一段かませただけで、ちゃんと使える形になって返ってきたのです。そのとき思わず口から出たのが、「これ多分すっげえ武器かな」という言葉でした。
何が分かったのか
分かったのは、AIに良い仕事をしてもらうには、良い指示文が要るということ。そして、その良い指示文を自分でうまく書けなくても、AIに考えさせればいいということです。
社長は、頭の中に作りたい物の絵があります。けれど、それを細かい言葉にするのは意外と骨が折れます。そこをAIに手伝ってもらう。考える役と作る役を分ける。一言で済ませていた頃との差は、この二段構えにありました。
もう一つ大事なのは、AIは聞かれたことにしか答えない、という点です。一言で頼めば、AIはその一言から推測して、無難な物を作ります。無難な物は、たいてい物足りません。逆に、細かい条件が並んだ指示文を渡せば、AIはその条件に沿って作ります。つまり出来の差は、AIの腕の差というより、渡した情報の量と整理の差なのです。その整理を人が全部やると時間がかかります。だから、整理もAIに任せる。これが二段構えの考え方です。
今日から真似できる手順
二段構えを自分の仕事で試すなら、次の4つで足ります。AIの画面は日々変わるので、ボタンの位置より頼み方の考え方として読んでください。
1. 作りたい物を、思いつくまま書き出す
最初は、きれいな文章でなくて構いません。「お店の紹介ページを作りたい」「来てほしいのは近所の家族連れ」「明るい感じがいい」のように、思いつくことを箇条書きで並べます。足りない部分があっても大丈夫です。次の段でAIが聞き返してくれます。
2. 考える役のAIに、指示文を作ってもらう
書き出したメモを貼って、「これを別のAIに作らせたい。良い指示文を考えてほしい」と頼みます。足りない情報があれば質問してほしい、と一言添えておくと、AIのほうから聞いてくれます。聞かれたことに答えていくうちに、自分でも作りたい物がはっきりしてきます。
頼むときの文は、例えば次のような形で十分です。
- これからホームページの一部を別のAIに作らせたい
- 下のメモが、作りたい物について僕が分かっていること
- このメモを元に、作る役のAIにそのまま渡せる指示文を書いてほしい
- 分からない点があれば、書く前に質問してほしい
考える役のAIは、目的・見る人・見た目・載せる中身・やってはいけないこと、のように項目を分けて指示文を組み立ててくれることが多いです。一言で頼んでいた頃に抜けていたのは、まさにこの項目でした。
3. できた指示文を、作る役のAIに渡す
指示文ができたら、それを作る役のAIに貼って投げます。自分で書き直そうとせず、まずはそのまま渡してみるのがおすすめです。一言で頼んだときとの差を、自分の目で確かめられます。
4. 出来を見て、直したい点を考える役に戻す
出来上がりを見て、気に入らない点があれば、それを考える役のAIに伝えます。「ここが地味」「この情報が抜けている」と書けば、指示文を直してくれます。直した指示文をもう一度投げる。この往復を何度か繰り返すと、だいぶ形が整います。作る役のAIに「もっと良くして」とだけ頼むより、指示文の側を直しておくと、次に似た物を作るときにもその直しが生きます。
気をつけること
この二段構えは便利ですが、気をつけたい点がいくつかあります。
- 考える役のAIに渡すメモに、お客様の名前や連絡先を入れない。必要なら「お客様A」のように置き換えて書く
- AIが作った指示文の中身は、一度は自分の目で読む。思ってもいない条件が足されていることがある
- うまくいった指示文は、メモ帳などに保存しておく。次に似た物を作るとき、ひな形として使える
特に最後の保存は、後で効いてきます。良い指示文が手元に何本かたまると、それがそのまま自社のやり方の型になります。
今から始める社長へ
AIの出来が弱いと感じたとき、道具を替える前に、頼み方を替えてみてください。自分で上手な指示文を書けなくても構いません。指示文を書くこと自体を、AIに手伝ってもらえばいいのです。
僕が最初につかんだのも、この一段をかませるだけの工夫でした。作りたい物の絵を持っているのは社長です。その絵を言葉にする手伝いは、AIに任せてしまいましょう。