場面2「AIへの頼み方・聞き方で迷うとき」 13/49本目
長い会話でAIが最初の指示を外す時は、1会話1依頼にして要約で引き継ぐ
教科書でいうと → 第13章「頼み方を型にする」(解説動画つき)
AIと長い時間やりとりしているうちに、最初に伝えた決まりを守らなくなる。「さっき言ったよね」と言っても、また同じことを繰り返す。再起動すると、昨日の話を忘れている。この記事では、僕が2026年の2月にこの問題の仕組みを理解して決めた「1会話1依頼」と、要約で引き継ぐやり方を書きます。
前に言ったとおりにやってくれない
2026年の2月、相談役として使っていたAIが、思うように動かなくなりました。再起動すると忘れる。前に言ったことの通りにやらない。困った僕は、別のAIであるClaudeに、なぜそうなるのかを聞いてみました。
AIは理解しているのではなく、次の言葉を予測している
Claudeの説明で、仕組みが分かりました。AIは、話を理解しているわけではなく、次に来る言葉を予測しているだけ。会話が長くなると、最初の指示が遠くなり、最後の話題を重視するようになる。講座では「理解してるわけじゃないんですよ」と、そのまま伝えました。最初の指示を守らないのは、AIが怠けているからではなく、仕組みの上でそうなりやすいということです。
1会話1依頼と、要約の引き継ぎ
そこで、僕は使い方を変えました。
- 1つの会話では、1つの依頼だけをする
- 途中で別の話題を挟まない
- 会話が長くなったら、要約を保存して終わり、次の会話でその要約を読み戻す
この保存と読み戻しを、決まった言葉で呼び出せるようにしました。「保存して」と言えば、ここまでの要点をファイルに書き残してくれます。これで、再起動しても、前の話の続きから始められるようになりました。
今日から真似できる手順
1. 会話を始める時に、依頼を1つに決める
AIとの会話を始める前に、この会話で頼むことを1つに決めます。「取引先への返信の下書き」「来月の予定の整理」のように、1つの会話に1つの仕事です。途中で別の仕事を思いついたら、メモしておいて、別の会話で頼みます。
2. 決まりごとは、会話の最初にまとめて書く
守ってほしい決まりは、会話の最初にまとめて書きます。「敬語で」「400字以内で」「数字は確かめた物だけ」。途中で言い足すより、最初にまとめた方が守られやすくなります。
3. 長くなったら、要約を作らせて区切る
会話が長くなってきたら、AIに要約を作らせます。「ここまでで決まったこと、残っていること、守る決まりを、短くまとめて」と頼みます。その要約を保存して、会話を終えます。
4. 次の会話は、要約を貼ってから始める
次の会話を始める時は、最初に保存した要約を貼ります。要約の中に決まりも入っているので、最初の指示が遠くなることがありません。
話題を混ぜると、何が起きるか
1つの会話で、取引先への返信と、社内の予定の整理と、新しい企画の相談を続けてしたとします。すると、返信の文に企画の話が混ざったり、予定の整理で返信の調子が出てきたりします。AIにとっては、会話の中の全部が材料です。関係のない話も、材料として使おうとします。話題ごとに会話を分けるだけで、こうした混ざりはなくなります。
要約に入れておくとよいこと
要約には、決まったことだけでなく、決まりごとも入れておきます。「です・ます調で書く」「数字は確かめた物だけを使う」といった決まりは、要約に入れておかないと、次の会話で消えてしまいます。また、「やらないと決めたこと」も書いておくと役に立ちます。一度やめた案を、次の会話でAIがまた出してくることがあるからです。
決まった言葉で呼び出せるようにする
僕は、要約の保存と読み戻しを、決まった短い言葉で呼び出せるようにしています。毎回「ここまでの要点を、決まりも含めて短くまとめて保存して」と書くのは面倒です。短い言葉1つで同じことができれば、区切るのが苦になりません。AIの道具によっては、よく使う頼み方を登録しておける機能があります。なければ、メモ帳に頼み方の文を置いておき、貼り付けるだけでも十分です。
社長の仕事に置き換えると
1会話1依頼は、人に仕事を頼む時と同じです。社員を呼んで、取引先への返信と、来月の予定と、新しい企画を一度に話したら、どれも中途半端になります。1つずつ頼み、終わったら次を頼む。長い仕事は、途中で要点をメモにして渡す。人に対して自然にやっていることを、AIにもやる。それだけで、AIの仕事ぶりはずいぶん落ち着きます。
気をつけること
要約は、AIが作るので抜けがあることがあります。大事な決まりが入っているかは、自分の目で確かめてください。要約のファイルに、お客様の個人情報を書きすぎないように気をつけてください。また、会話を分けても、AIが前の会話を覚えているとは限りません。続きを頼む時は、要約を貼るのを忘れないでください。
今から始める社長へ
AIが指示を守らなくなるのは、会話が長くなりすぎたサインです。次にAIと話す時は、最初に「この会話で頼むことは1つ」と決めてみてください。それだけで、やりとりのずれはかなり減ります。