場面1「AIの道具を入れて、使い始めるとき」 1/27本目
資料を全部読む時間がない社長へ。AIに資料を入れて質問で当たりを付ける
教科書でいうと → 第4章「文書と表とスライド」(解説動画つき)
補助金の要項、取引先からの提案書、業界団体の通知。読まなければいけない資料は毎週のように届くのに、最初から最後まで読む時間はありません。結局、机の端に積んだまま締め切りが近づく。そんな経験はありませんか。この記事では、僕が2025年の6月に打合せで教わり合った「資料を読む代わりに、資料に質問する」やり方と、社長が今日から真似できる手順を書きます。
読む前に、聞けばよかった
2025年の6月、ある打合せで、NotebookLMというAIの使い方を紹介し合いました。自分の資料、たとえば補助金の資料をAIに入れておいて、知りたいことを質問する。すると、AIが資料の中から答えを探して、どこに書いてあったかまで示してくれます。そのときに出た言葉が「読み込まなくていいんだから」でした。それまでの僕は、資料は頭から読むものだと思っていました。全部読んでから、必要なところを探す。だから、時間がない日は手が付けられなかったのです。
分かったのは、読む順番を逆にするということ
この使い方で分かったのは、資料の読み方を逆にできるということです。
- これまでは、全部読む、そのあと必要な所を探す
- これからは、先に質問する、AIが示した所だけを読む
全部を読まなくても、質問から入って、該当する箇所に当たればよい。資料の読み込みを、質問に置き換える発想です。社長が資料から知りたいことは、たいてい数個です。「うちは対象になるのか」「締め切りはいつか」「何を出せばいいのか」。その数個の答えにたどり着ければ、仕事は前に進みます。
今日から真似できる手順
ここでは特定の画面に頼らない順番を書きます。道具の画面は変わるので、順番のほうを覚えてください。
1. 資料を1か所にまとめて入れる
まず、読むべき資料をAIに入れます。1つの案件の資料は、1つのまとまりにしておきます。別の案件の資料が混ざると、答えも混ざります。補助金なら補助金、取引先の提案なら提案、と分けて入れてください。
2. 知りたいことを3つだけ書き出す
いきなり質問を始めずに、知りたいことを紙に3つ書きます。「対象になる条件は何か」「締め切りはいつか」「出す書類は何か」のように、答えが短く返ってくる形にします。質問がぼやけていると、答えもぼやけます。
3. 答えと一緒に、元の箇所を出させる
質問したら、答えだけで満足せず、資料のどこに書いてあったかを示してもらいます。そして、示された箇所だけは自分の目で読みます。ここが大事なところです。AIの要約をうのみにせず、元の文に当たる。読む量は大きく減りますが、確かめる手間は残します。
4. 分からない言葉は、その場で聞き返す
資料には、専門の言葉や略語がよく出てきます。読み飛ばさずに「この言葉は、うちの会社の場合だと何を指すのか」と聞き返します。自分の会社に置き換えて説明させると、急に分かりやすくなります。
質問の仕方で、答えの質が変わる
同じ資料でも、質問の仕方で返ってくる答えは変わります。うまくいかない質問は「この資料を要約して」です。全体をなぞった短い文が返ってきて、結局何をすればいいのかが分かりません。うまくいく質問は、自分の状況を添えたものです。「従業員5人の小売業で、去年の売上が前の年より下がっている場合、対象になりますか。根拠の箇所も示してください」。条件を書くほど、答えは具体的になります。根拠の箇所を求めるほど、確かめるのも楽になります。
打合せの前にも使える
この使い方は、資料を読むときだけのものではありません。取引先との打合せの前に、相手から届いた提案書を入れておいて「この提案で、こちらが決めなければいけないことは何か」と聞いておく。すると、打合せで聞くべきことが先に見えます。過去の議事録を入れておけば「前回、何を約束したか」もすぐに引けます。読む時間がないから資料が積み上がる、という流れを、聞けば分かるという流れに変えられます。
資料に聞くときの決まりごと
資料に質問するときは、3つのことを決めておくと迷いません。1つ目は、1つの質問で1つのことだけを聞くことです。「対象と締め切りと書類を教えて」とまとめて聞くと、どれかが抜けます。2つ目は、答えの最後に「資料に書いていないことは、書いていないと言ってください」と添えることです。これだけで、それらしい作り話がかなり減ります。3つ目は、示された箇所を読んだら、自分の言葉で1行にまとめて残すことです。次に同じ資料を開いた時、その1行から始められます。
気をつけること
AIは、資料に書いていないことを、書いてあるように答えてしまうことがあります。だから、元の箇所を示させて、そこだけは自分で読むのが前提です。示された箇所を開いても該当する文が見つからない時は、その答えは使わないでください。お金や期限、申請の可否のように、間違えると取り返しがつかないものは、最後に窓口や専門の人に確かめてください。また、社外に出してはいけない資料をどこまでAIに入れてよいかは、使う道具の決まりを確かめてから判断してください。
今から始める社長へ
資料は全部読まなくてもいい。知りたいことを先に決めて、AIに聞いて、示された所だけを読む。これだけで、机の端に積んでいた資料が、少しずつ減っていきます。まずは、いま一番気になっている資料を1つだけAIに入れて、3つの質問をしてみてください。