場面1「AIの道具を入れて、使い始めるとき」 2/27本目
AIエージェントのインストールで挫折した社長へ——もう一度始めるための準備
教科書でいうと → 第2章「最初の1つを頼む」(解説動画つき)
AIエージェントを入れようとして、インストールの途中で手が止まったことはありませんか。黒い画面に何を打てばいいのか分からない。エラーの英語が並んで、そのまま閉じてしまう。僕も、まさにそこで一度離れた一人です。この記事では、当時どこで止まったのかと、もう一度始めるときに真似できる準備の手順を書きます。
講座を受けても、黒い画面が分からなかった
2025年の夏、僕は他社のバイブコーディング講座を受けていました。Gemini CLI、Windsurf、Claude Code の入門を扱う講座です。Windowsでも始められると聞いて、申し込みました。ところが、当時の僕はターミナルもインストールも分かりませんでした。講師の説明を聞きながら、黒い画面に言われた文字を打つ。それが何をしているのかは、分からないまま進めていました。
講座の中で、講師がこう説明していたのを覚えています。受講生の1割ほどは、インストールの段階で挫折する、と。最初の入口で、それだけの人が止まるということです。
課題はこなしたのに、自分の物は作れなかった
AIとの付き合い自体は、もっと前からありました。始まりはChatGPTでの壁打ちです。ただ当時は長い文章が入らず、分けて貼っていました。そして講座のCLIの課題で、Claude Code に触れました。
課題は、お題どおりにゲームやポモドーロタイマーを作り直すものです。これは一通りやりました。けれど、自分の仕事のアプリを作るところまでは行きませんでした。夏の終わりから秋の初めにかけて、手が離れていきました。触り始めてから2〜3か月のことです。後で振り返ったときの僕の言葉は「ちょっと挫折っていう感じで」でした。
何が分かっていなかったのか
一番大きかったのは、道具の区別がついていなかったことです。講座で教わったのは、Claude Code は手元のパソコンを操作する道具で、ブラウザで使うClaudeとは別物だということでした。同じ名前が付いていても、ブラウザのチャットとは動く場所が違います。手元のパソコンのファイルを読み、書き、動かす。だから入れる手順も、ブラウザを開くだけでは済みません。
この区別がつかないまま入れようとすると、何をしているのか分からず止まります。もう一つは、課題の先にある自分の題が無かったことです。お題をこなすと、そこで終わってしまいました。
今日から真似できる、やり直しの手順
ここからは、一度止まった社長がもう一度始めるための手順です。道具の画面や入れ方は変わるので、考え方を中心に書きます。
1. ブラウザのAIと手元のAIを分けて考える
最初に、自分が入れようとしている物がどちらかを確かめます。ブラウザで開くチャットなのか、手元のパソコンで動く道具なのか。手元で動く物なら、インストールの手間があって当然だと思っておきます。
2. 止まった画面を撮って、ブラウザのAIに聞く
インストールで止まったら、その画面を撮って、ブラウザのチャットのAIに見せます。「このエラーで止まった。次に何をすればいいか」と書くだけで構いません。手元のAIが動かない間は、ブラウザのAIを相談相手にする。この順番だと、止まっても戻る場所があります。
3. 打った文字と結果をメモに残す
黒い画面に打った文字と、返ってきた結果をメモに貼っておきます。次に止まったとき、そのメモごとAIに見せれば、どこまで進んだかを説明し直さずに済みます。メモは、日付と「何をしようとしていたか」を1行添えるだけで十分です。
- 例: 手元のAIを入れようとしていた。この文字を打った。この表示が出て止まった
- 例: 言われたとおり入れ直した。今度は別の表示が出た
数日空いても、このメモがあれば続きから再開できます。挫折の多くは、どこまで進んだか分からなくなって、最初からやり直す気力が無くなるところで起きます。
4. 最初の題を自分の仕事から1つ決める
入れ終わったら、お題の練習より先に、自分の仕事の小さな題を1つ決めます。例えば、毎週手で作っている表を整える、届いた文章を要約する、などです。自分の困りごとが題になっていると、課題が終わっても次の一歩が残ります。題は大きくしないことが大事です。「会社の仕組みを全部変える」ではなく、「この1枚の表を毎週作らなくて済むようにする」くらいの大きさにします。一つ片付いたら、次の題を1つ足す。その積み重ねのほうが、立派なアプリを一度に作ろうとするより続きます。
気をつけること
インストールのとき、AIが教えてくれた文字をそのまま打つ場面が出てきます。意味が分からないまま打つ前に、「この文字は何をするのか」を一言聞いてから打つと安心です。また、手元で動くAIは、パソコンの中のファイルに触れます。最初は、大事な書類の入っていない作業用のフォルダを1つ作り、その中だけで試してください。もう一つ、一度にいくつもの道具を入れないことです。講座では複数の道具を紹介されることがありますが、最初は1つに絞ったほうが、止まったときにどこが原因かを探しやすくなります。インストールに時間がかかった日は、そこで終わりにして構いません。入れ終わったところまでメモに残し、使うのは翌日に回す。区切りを自分で決めておくと、疲れて投げ出すことが減ります。
今から始める社長へ
1割が入口で止まると聞くと、自分もそうなるかもと不安になるかもしれません。けれど、止まった人が向いていないわけではありません。僕も一度止まった側です。止まった場所が分かっていれば、次はそこに準備をして臨めます。インストールの壁は、一人で越えなくていい。画面を撮って聞くところから、もう一度始めてみてください。