場面6「AIに任せる範囲を、決めていくとき」 20/36本目
取引先に伝えた納期がAIの実測で何度も変わった——測ってから約束する
教科書でいうと → 第14章「AIと働く約束ごと」(解説動画つき)
AIを使えば、仕事は速くなる。そう信じて、取引先に早い納期を伝えてしまう。ところが、実際に作業を始めてみると、思ったより時間がかかる。納期を書き直して、また連絡する。僕も2026年の9月に、この失敗をしました。この記事では、何が起きたかと、今から始める社長が、AIを使う仕事の納期を安全に約束するための手順を書きます。
納期が、何度も変わった
2026年9月7日の出来事です。取引先へ送った納期が、AIでの作業の実測によって、何度も変わってしまいました。対外のメールを出すたびに、中身が変わる状態になったのです。
メールを受け取る側から見ると、頻繁に変わる納期は、不安のもとになります。一度の訂正なら誠実に見えますが、何度も続くと、信頼を損なうことにもなります。
速さは、測ってから約束する
僕が学んだことは、AIの速さは、測ってから約束する、ということです。AIは、うまくいけば一瞬で終わります。でも、途中で止まったり、やり直しが入ったりすれば、一気に時間が延びます。予想で納期を書くと、そのぶれが、そのまま納期のぶれになります。
そこで、決まりを作りました。実測が出てから、納期を書く。そのときの僕の感想は、こうでした。「まあ仕方ないか、初めてのことだし。」
初めての種類の仕事では、どれくらいかかるか、誰にも分かりません。だからこそ、測るという手順が大切になります。
納期が崩れる、3つのパターン
AIを使う仕事で、納期が崩れるのは、だいたい決まった形です。1つ目は、最初の見込みが、うまくいった場合だけを想定していること。2つ目は、確認や修正に必要な時間が、見込みに入っていないこと。3つ目は、途中でお客様の要望が増えて、作業が膨らむことです。
どれも、最初に納期を決める時点で、見えにくいものです。だから、実測で確かめてから、約束する。さらに、「この範囲なら、この納期」と、範囲とセットで伝える。この2つを組み合わせると、納期が崩れにくくなります。範囲が変わったら、納期も変わると、あらかじめ伝えておくのも、有効です。
今日から真似できる手順
AIを使う仕事の納期を、安全に約束するための進め方を、4つにまとめました。
1. 小さく試して、時間を測る
大きな仕事の前に、一部だけをAIにやらせて、かかった時間を測ります。1件にかかった時間が分かれば、全体の件数を掛けて、おおよその時間が出ます。測る手間は、数十分で済みます。
2. 止まる時間と、やり直しの時間を足す
AIは、止まったり、間違えたりします。測った時間に、止まる時間、確認する時間、やり直す時間を足して、余裕を持たせます。余裕の見方は、最初は、測った時間の1.5倍程度から始めると、無理がありません。
3. 納期は、実測が出てから伝える
取引先に伝える納期は、実測が出てから決めます。実測が出る前に聞かれたら、「測ってから、改めてご連絡します」と答えます。曖昧な納期を先に出すより、ずっと誠実な対応になります。
4. 納期が変わりそうなら、早めに伝える
作業の途中で、納期が延びそうだと分かったら、早い段階で伝えます。理由と、新しい見込みを添えます。直前になって伝えるより、取引先も、段取りを組み直しやすくなります。
気をつけること
AIの速さに慣れてくると、測ることを忘れがちになります。AIを使う仕事は、毎回、内容が違います。前回の実測が、次回にもそのまま通用するとは限りません。また、お客様に出すメールの文面は、AIが書いたものを、そのまま送らず、納期や数字を、自分の目で確かめてください。
速さを売りにするなら、なおさら
AIで速く仕事ができることを、強みにしている会社は、増えています。ただ、速さを売りにするなら、約束の守り方も、強みにする必要があります。測ってから約束する。守れない見込みなら、早めに知らせる。この2つが守られていれば、速さは信頼につながります。
実測の記録を、次に生かす
実測した時間は、メモに残します。「どんな仕事を、AIで、何件、どれくらいの時間で終えたか」を、1行ずつ書きます。記録が溜まると、次に似た仕事が来たとき、測らなくても、かなり正確に見込めるようになります。最初は、測る手間がかかりますが、数回続ければ、自社の「AIでの作業時間の目安表」が、できあがります。その表が、納期の約束を支える、会社の財産になります。
納期を伝えるときの、一言の添え方
納期を伝えるメールには、根拠を一言添えます。「同じ種類の作業で、実際に測った時間をもとにしています」と書けば、取引先は、数字の重みを感じ取れます。さらに、「作業の途中で変更があれば、早めにご連絡します」と添えておけば、安心して待ってもらえます。言葉の一つひとつが、信頼を積み上げます。
今から始める社長へ
AIの速さは、魅力ですが、約束に使うときは、慎重さが要ります。まずは次の依頼で、納期を答える前に、小さく試して、時間を測ってみてください。その実測が、取引先への約束の、確かな根拠になります。