場面6「AIに任せる範囲を、決めていくとき」 21/36本目
AIへの指示を細かく縛りすぎていた。「目的と止まる所」だけ書いたら速くなった
教科書でいうと → 第13章「頼み方を型にする」(解説動画つき)
AIに仕事を任せる時、失敗が怖くて、細かい決まりをたくさん書く。あれはしてはいけない、ここで確認を取る、この順番で進める。すると、AIは決まりを守るのに精一杯で、仕事がなかなか進まない。この記事では、僕が2026年の9月に変えた「目的と止まる所だけを書く」指示の出し方と、社長が今日から試せる手順を書きます。
縛りすぎていたのは、僕の方だった
2026年の9月、AIのCodexに、ある画面の作り直しを任せていました。それまでの僕の指示は、止まる所を細かく決めすぎていました。少しでも迷ったら止まって聞く。決まった順番から外れない。ある日、指示を緩めて、自由にやらせてみました。書いたのは、目的と、止まらなければいけない所だけです。すると、速くて正確でした。一晩で、31の画面を作り直すところまで進みました。「この1日で、コーデックスに信頼がおけることはよくわかった」。そのときの言葉です。
分かったのは、信頼できるAIは縛らない方が速いということ
この経験で分かったのは、信頼できるAIは、縛らない方が速いということです。
- 細かい決まりが多いと、AIは決まりを守ることに力を使う
- 迷うたびに止まると、人の返事を待つ時間が積み上がる
- 目的がはっきりしていれば、AIは自分で道を選べる
人に仕事を任せる時と同じです。手順を全部決めて渡すより、何のための仕事かと、越えてはいけない線だけを伝える方が、できる人は速く動きます。
今日から真似できる手順
1. 目的を1文で書く
まず、仕事の目的を1文で書きます。「お客様が予約までたどり着けるページにする」「先月の売上の表を、会議で使える形にまとめる」のようにです。手順ではなく、終わった時にどうなっていればいいかを書きます。
2. 止まる所を3つまでに絞る
次に、AIが止まらなければいけない所を書きます。お客様に送る、消す、お金がかかる。取り返しがつかないことだけを、止まる所にします。数は3つまでに絞ります。多すぎると、また縛りすぎに戻ります。
3. それ以外は、任せると書く
止まる所以外は、AIに任せると書きます。「やり方や順番は任せます。迷ったら、戻せる方を選んで進めてください」と書くと、AIは止まらずに進みます。
4. 終わった後に、結果だけを確かめる
途中で口を出さず、終わった後に結果を確かめます。目的に合っているか、止まる所を越えていないか。この2つを見ます。直す所があれば、次の指示に足します。
いきなり全部を緩めない
ただし、どのAIにも、どの仕事にも、いきなり自由を与えるのはおすすめしません。僕も、それまでの仕事ぶりを見てきたから、緩められました。最初は、戻せる仕事で試します。社内の資料、下書き、試しのページ。失敗しても困らない仕事で、そのAIがどこまでやれるかを見ます。信頼できると分かった仕事から、少しずつ縛りを緩めていきます。
止まる所の決め方
止まる所は、取り返しがつくかどうかで決めます。下書きを作る、社内の表を直す、試しの画面を作る。これらは戻せるので、止まる所にしません。お客様にメールを送る、データを消す、お金を払う。これらは戻せないので、止まる所にします。この線を引いておけば、AIが自由に動いても、取り返しのつかないことは起きません。
指示の文の例
指示の形は、たとえば次のようになります。「目的は、お客様が予約まで迷わずたどり着ける画面にすることです。お客様への送信、データの削除、新しい費用が出る操作の前では止まって知らせてください。それ以外のやり方や順番は任せます。迷ったら戻せる方を選んで進め、終わったら何をしたかを短くまとめてください」。目的、止まる所、任せる範囲、終わった後の報告。この4つだけです。細かい決まりを並べた指示に比べると、ずっと短くなります。
細かい決まりは、なぜ増えるのか
AIへの指示が細かくなっていくのは、よくある流れです。AIが失敗するたびに、その失敗を防ぐ決まりを1つ足す。決まりは増える一方で、減ることはあまりありません。決まりが増えるほど、AIはどれを優先すればいいか迷い、止まる回数が増えます。失敗を防ぐ決まりを足す時は、同時に、もう要らない決まりがないかを見直す。これを心がけると、指示の長さが落ち着きます。
気をつけること
自由にやらせる時ほど、止まる所はAIにはっきり伝えてください。あいまいに書くと、AIが自分の判断で越えてしまうことがあります。大事なデータを触る仕事は、始める前に控えを取ってください。また、AIが自由に進めた結果は、外に出す前に自分で確かめてください。任せることと、確かめないことは違います。
今から始める社長へ
AIが遅いと感じたら、縛りすぎていないかを見直してみてください。次に仕事を頼む時は、目的を1文と、止まる所を3つまで。それだけを書いて渡してみてください。AIの動きが、驚くほど変わるかもしれません。