場面6「AIに任せる範囲を、決めていくとき」 2/36本目
目先の作業で1時間が消える社長へ——やる順番をAIと決めてタイマーを置く
教科書でいうと → 第12章「決まった仕事を自動で回す」(解説動画つき)
朝に決めたはずの大事な仕事が、夕方になっても手つかずのまま。目の前の作業に手を出したら、気づけば1時間が過ぎていた。そんな日はありませんか。一人で仕事を回していると、止めてくれる人がいません。僕もずっとそうでした。この記事では、AIと一緒にやる順番を決め、タイマーで自分を止めるようにした体験と、その手順を書きます。
目先のことに流されていた頃
2026年の春先、僕の困りごとは、目先のことに流されることでした。特に開発の作業でつまずくと、1時間があっという間に過ぎていきます。当時の僕は、こう言っています。
「なんか目先でばってきちゃうとそっちにやっちゃう」
一人で仕事をしていると、自分の進み具合を見てくれる人がいません。大事なことと急ぎのことが混ざったまま、その時に目に入ったものから手を付けてしまう。これをどうにかしたくて、一人で仕事をする人の進み具合の管理を楽にする方法を試し始めました。
朝の日誌で、AIと壁打ちを始めた
試したのは、AntigravityとNotionをMCPという仕組みでつないで、朝の日誌を書く方法です。朝に今日やることを書き出し、どれを先にやるかをAIと壁打ちします。自分用の進み具合の管理として始めました。
やってみて分かったのは、今のAIは、やる順番を決める相手として十分に頼れるということです。むしろ、順番はAIに決めてもらって、その順番で動くほうがいい。そう思えるくらい、AIは良くなっていました。
ただ、うまくいかないところもありました。MCPのつなぎが途中で落ちて、連携が今ひとつ機能しなかったのです。そこで、もう1つ手を打ちました。50分のタイマーです。作業に夢中になって暴走しても、50分たてば止まれるようにしたのです。つなぎが完全に動かなくても、止まるきっかけだけは手元に残せます。
今日から真似できる手順
ここからは、同じことを自分の仕事で試すための手順です。道具のつなぎ方や画面は変わっていくので、まずは道具をつながなくてもできる形で書きます。
1. 朝に、今日やることを全部書き出す
朝いちばんに、今日やることを思いつくまま書き出します。メモ帳でも、Notionでも構いません。大事なことも細かいことも、区別せずに全部出します。この段階で順番を考えなくて大丈夫です。頭の中にある物を外に出すだけで、気持ちが少し軽くなります。5分ほどで書き切れる量を目安にします。
2. 書き出した物をAIに渡し、順番を聞く
書き出したリストをAIに貼って、こう聞きます。「今日やることです。売上に近い物から順に並べ、理由を一言ずつ付けてください」自分の会社の事情を一言足すと、順番の精度が上がります。並んだ順番に納得できなければ、理由を聞き返して、一緒に直します。
3. 50分のタイマーを置いてから始める
順番が決まったら、1つ目の仕事に取りかかる前にタイマーをかけます。スマートフォンのタイマーで十分です。鳴ったら、手を止めて、今の作業が順番どおりか確かめます。順番から外れていたら、そこで戻ります。鳴った時点で作業が途中でも、どこまでやったかを一言メモしてから離れると、戻るときに迷いません。50分は僕が選んだ長さです。自分の集中が続く長さに合わせて変えて構いません。大事なのは、長さより、止まるきっかけが外から来ることです。
4. 夕方に、どこまで進んだかをAIに伝える
一日の終わりに、どこまで進んだかをAIに伝えます。残った物は、翌朝のリストに回してもらいます。これを続けると、自分がどこで流されやすいかも見えてきます。
朝の壁打ちで、AIに渡すとよい材料
順番をAIに決めてもらうとき、渡す材料が多いほど、並びは自分の事情に合ってきます。毎朝のリストに、次のようなことを一言ずつ添えてみてください。
- 今日の締め切りと、お客様との約束の時刻
- 今週いちばん進めたい仕事
- 昨日やり残した物と、やり残した理由
- 今日使える時間のおおよその量
聞き方の例も1つ置いておきます。「この中で、今日やらないと困る物を先に、次に今週の目標に近い物、最後にそれ以外の順で並べてください。今日やらなくていい物があれば、外してください」外す物を聞くのが、意外と効きます。一人で仕事をしていると、やらなくていい物まで抱え込みがちだからです。並んだ順番は、紙に書いて画面の横に置いておくと、タイマーが鳴ったときにすぐ見返せます。
道具をつなぐ前に気をつけること
AIとメモの道具をつなぐと便利ですが、僕のときのように、つなぎが落ちて思うように動かないこともあります。最初から仕組みを完璧にしようとすると、仕組みづくりそのものが目先の作業になってしまいます。
- まずは貼り付けと聞き返しだけで、1週間ほど続けてみる
- 道具をつなぐのは、毎朝の流れが定着してからにする
- つなぎが落ちても、タイマーと紙のリストがあれば回るようにしておく
もう1つ、AIは、伝えられた事情の範囲で順番を決めます。お客様との約束や締め切りなど、自分しか知らない事情は、こちらから伝えないとAIには分かりません。順番を任せるからこそ、材料は惜しまず渡しておきます。
今から始める社長へ
一人で仕事をしていると、流されたことに気づくのは、たいてい時間が過ぎた後です。だから、気づく仕組みを先に置いておきます。
朝はAIと順番を決める。作業は50分で区切る。この2つを置くだけで、気づかないうちに1時間が消える日を減らしていけます。仕組みがうまく動かない日があっても構いません。タイマーが鳴ったら止まる、それだけは守ってみてください。