場面3「AIの答えを、信じる前に確かめたいとき」 12/31本目
AIに「できない」と言われても、もう一度試す――半年後と画面で確かめる手順
教科書でいうと → 第6章「調べ物でだまされない」(解説動画つき)
AIに「それはできません」と言われて、そこで諦めたことはありませんか。あるいは、前に試してうまくいかなかった機能を、それきり使っていない。そういうこともあると思います。僕にも、AIの「できない」や昔の失敗を、そのまま受け取りかけた場面がありました。この記事では、試し直したら結果が変わった2つの体験と、AIの「できない」を自分の手で確かめ直す手順を書きます。
半年前は迷子だったブラウザ操作
1つ目は、2026年の春の終わりの話です。ゴーハイレベルのワークフローのような難しい設定は、APIという外からつなぐ口では扱えない部分がありました。そこで、届かない設定を埋めるために、Claude in Chromeを使ってブラウザをAIに操作させてみました。
実はこの機能、半年ほど前にも試していました。そのときは、AIが画面の途中で迷子になり、迷子になったと言って止まってしまう。結局は時間切れで終わる、という結果でした。
ところが、改めて試してみると、まるで違いました。押すべき所を的確に見つけて、ピンポイントでクリックして進んでいきます。半年前からある機能が、いつの間にか大きく賢くなっていたのです。思わず出た言葉はこれでした。「今めちゃめちゃ賢くなってて」
これで仕事の進め方も変わりました。画面の操作を全部覚えなくても、一度やり方を示せば、同じ指示でAIが勝手に進めてくれるようになったのです。
AIが「不可」と言った送信が、できた
2つ目は、2026年の秋の初めのことです。日本向けにSMSを送れるかどうかを、AIに調べてもらいました。答えは「不可」でした。ただ、その判断は、公式の情報だけを読んで出したものでした。
僕は実際の設定画面を見て、これはできそうだと感じました。そこで試してみたら、送れました。そのときの言葉が、これです。「画面みてできそうだと思い実験したらクリアできた」
実験でできたので、AIの「不可」という判断を、できるという事実に書き換えました。
何が分かったか
2つの体験に共通するのは、試してみるまで分からない、ということです。AIの「できない」は、書かれた情報や、前の時点の様子から出した判断です。今この画面で本当にできないかどうかは、別の話です。そして、AIの道具そのものも、半年で別物のように変わることがあります。昔の失敗の記憶は、今の答えとは限りません。
だからといって、AIの判断を軽く見てよいわけではありません。AIが調べた公式の情報は、試す前の地図としては役に立ちます。大事なのは、地図と現地を分けて考えることです。地図に道が無くても、現地に立つと通れる道がある。逆もあります。最後に決めるのは、現地、つまり実際に試した結果です。
今日から真似できる手順
ここからは、AIの「できない」を試し直すための手順です。画面や機能は日々変わるので、確かめ方の流れとして読んでください。
1. 「できない」の理由を聞く
AIに「できない」と言われたら、まず「何を見てそう判断しましたか」と聞きます。公式の説明を読んだだけなのか、実際に試したのか。理由が分かれば、試し直す価値があるかを決められます。
2. 実際の画面を見る
設定の画面を自分で開き、それらしい項目があるかを見ます。分からなければ、画面の写しをAIに見せて「この画面で、これをやる方法はありそうですか」と聞きます。文書の上では無理でも、画面にはそれらしい入口がある、ということは珍しくありません。
3. 小さく試す
試すときは、本番の相手ではなく、自分あてや、試し用の物で行います。送信なら自分の電話に1通、設定なら試し用の項目で1つ。うまくいかなくても困らない大きさで試します。1回でうまくいかなくても、すぐに結論を出さないことです。画面の写しを撮ってAIに見せ、どこで止まったかを一緒に見直してから、もう一度だけ試します。
4. 諦めた物を一覧にして、時期を置いて試し直す
前にできなかったことは、日付を付けてメモに残しておきます。数か月が過ぎたら、その一覧を見て、同じことをもう一度試します。道具は黙って賢くなっていることがあります。昔のメモが、試し直しの宝の地図になります。
気をつけること
試し直すときは、元に戻せる範囲で行います。設定を変える前に、今の設定を画面の写しで控えておきます。お客様に届く物や、取り消しにくい操作は、試し用の場で確かめてから本番に移します。
ブラウザをAIに操作させる場合は、AIが押していい画面と、押してほしくない画面を先に決めておきます。ログインしたままの画面には、大事な設定も並んでいます。どこまで任せるかを決めてから動かすと安心です。最初の何回かは、AIが画面を操作する様子を横で見ておきます。どこで迷うか、どこで手早く進むかが分かると、任せてよい範囲が自然に見えてきます。うまくいった操作は、そのときの指示の文を控えておきます。同じ指示を次に渡せば、同じ流れをもう一度走らせられます。
そして、試してできたら、その結果をAIにも伝えます。「実際に試したらできた」とメモに残し、次からはそれを前提にしてもらいます。そうしないと、AIは次の回もまた同じ「不可」を返してきます。
今から始める社長へ
AIの「できない」は、終わりの言葉ではなく、確かめる入口です。理由を聞いて、画面を見て、小さく試す。その手間で、諦めかけた仕事が前に進むことがあります。前に挫折した機能があるなら、今日それをメモに書き出すところから始めてみてください。半年後のあなたの手元で、別物になっているかもしれません。