場面5「複数のAIや仕組みで、回していくとき」 38/40本目
古い業務ソフトをクラウドへ移す前に、ざっくり仕様書を作る。個人情報は動かさない
教科書でいうと → 第17章「業務システムをAIと作る」(解説動画つき)
昔作ったAccessの業務ソフトが、今も現役で動いている。作った人が辞めて、直せる人もいない。そんな会社は、意外とあります。この記事では、2026年10月1日に僕がまとめた、古い業務ソフトをクラウドへ移すためのざっくり仕様書を、社長向けに紹介します。
古い業務ソフトの悩み
古いAccessの業務ソフトは、1台のパソコンの中で動いていることが多いです。パソコンが壊れたら、データごと失う心配があります。また、外出先から見られず、複数人で同時に使いにくいという不便も、あります。
ざっくり仕様書から始めた
2026年10月1日、僕は、共同生活援助の管理に使われているAccessの業務ソフトを、クラウドへ移すための、ざっくり仕様書を作りました。いきなり作り直さず、まず、今のソフトが何をしているかを、文書にまとめたのです。この仕様書があれば、クラウド化の提案ができます。
お客様の情報は、動かさない
作るときに気をつけたのが、個人情報の扱いです。個人情報は、別のパソコンへ移さない手順にしました。仕様書に必要なのは、項目の名前と、その定義です。項目名の定義は、個人情報ではありません。たとえば、「氏名」「生年月日」という項目があること自体は、個人情報ではありません。中身の値は、必要ないのです。
自分の会社で作る手順
ここからは、社長が自分の会社で、仕様書を作る手順の提案です。
1. 画面と帳票を書き出す
今のソフトにある画面と、印刷する帳票を、すべて書き出します。画面の写真を撮るときは、個人情報が写らないように、試験用のデータを使います。
2. 項目を一覧にする
各画面の項目を、名前と、種類(文字・数字・日付)で一覧にします。値は書きません。
3. 流れを書く
「入力する」「確認する」「印刷する」のような、使う人の流れを書きます。誰が、いつ、何をするかを、はっきりさせます。
4. 今の困りごとを足す
「遅い」「複数人で使えない」「バックアップが不安」のような、今の困りごとを書き足します。移す理由になります。
AIに手伝わせる範囲
項目の一覧や、流れの文章は、AIに整理させられます。そのとき、AIに渡すのは、項目の名前と定義だけにします。個人情報の値が入っている画面の写真は、渡しません。
移す前に、使い方を確かめる
実際に使っている人に、聞き取りをします。仕様書に書かれていない、隠れた使い方が、見つかることがあります。「このボタンは、月末だけ使う」といった、現場の知恵は、書き残します。
よくある疑問:データも一緒に移せますか
データの移行は、仕様書とは別の作業です。個人情報を含むので、移行の手順と責任者を決めてから、進めます。移行前に、元のデータの控えを取り、移行後に件数が合うかを、確かめます。
段階を分けて移す
一度にすべてを移さず、まず、使う頻度が低い画面から、移します。うまくいけば、次の画面へ進みます。古いソフトも、しばらくは並行して動かしておくと、安心です。
聞き取りの質問の例
現場の人への聞き取りでは、「毎日使う画面はどれですか」「月に1回だけ使う操作はありますか」「困っていることは何ですか」と聞きます。答えを、画面ごとの表に書き足します。
帳票の種類を数える
印刷する帳票の種類は、移す作業の大きさを決めます。種類が多いほど、作り直す手間が増えます。使われていない帳票は、移さない判断もできます。
クラウドへ移す利点
クラウドに移すと、外出先から見られ、複数人で同時に使えます。パソコンが壊れても、データが守られやすくなります。利点を、現場の言葉で説明すると、納得してもらいやすいです。
二本立ての期間を決める
新しい仕組みと古いソフトを、並行して動かす期間を、決めておきます。1か月など、区切りをつけて、問題がなければ古いソフトを止めます。期間の終わりに、件数と金額が合っているかを確かめます。
仕様書の読み手を決める
仕様書は、作る人と、使う現場の人の、両方が読みます。専門の言葉は、かみ砕いて書くと、現場の人も確認できます。現場の確認が取れた仕様書は、移行の土台として信頼できます。
作り直さない部分を決める
古いソフトの中には、そのまま使い続けたい部分もあります。全部を作り直さず、効果が大きい部分から、順に移します。段階を分けると、現場の混乱も、小さく済みます。
現場との約束を決める
移行の間、現場が困らないように、約束を決めます。「古いソフトは、いつまで使える」「新しい画面の練習は、いつ行う」の2つです。約束が先にあると、現場の不安が小さくなります。
試しに使う間の記録
試験運用の間は、現場の声と、不具合を、毎日1行ずつ記録します。記録が集まると、本番の切り替え日を決める材料になります。記録は、現場の担当者にも見せます。
気をつけること
個人情報を扱うソフトの移行は、法律や、お客様との契約に関わります。専門家にも相談してください。仕様書の作成に使ったAIにも、個人情報を渡していないか、最後に確認します。
今から始める社長へ
古いソフトの画面を、3つだけ書き出してみてください。項目の一覧ができると、クラウドへ移す話が、現実の仕事として動き出します。