ニタ|ひとり社長の軽トラDX

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場面3「AIの答えを、信じる前に確かめたいとき」 4/31本目

AIの「できます」と言い訳をうのみにしない――社長が確かめる4つの手順

AIに「できます」と言われて任せたのに、ふたを開けたらできていなかった。そんな経験はありませんか。途中で止まった理由を聞くと、AIはもっともらしい説明を返してきます。読むと、なんとなく納得してしまう。僕もAIを仕事に入れ始めた頃、この2つに何度も振り回されました。この記事では、そのとき何が起きたかと、今から始める社長がAIの言葉を確かめるための手順を書きます。

「途中で変わったから」と言われた日

2025年の秋の終わり、ChatGPTに手伝ってもらいながら、ある申請の手続きを進めていました。ところが、途中で手続きが通らなくなりました。理由をChatGPTに聞くと、「途中でバージョンが変わったからできなくなった」という答えが返ってきました。

一見、筋の通った説明です。道具の画面や仕組みが変わることは実際によくあるので、そう言われると信じたくなります。でも、よく考えると、その説明には何の裏付けもありませんでした。どこで何が変わったのか、AIは一つも示していなかったのです。そのときの僕の気持ちは、ひと言で言うとこうです。「根拠はないんだよ」

結局、僕はその説明を脇に置いて、申請を最初から全部やり直しました。AIの言い訳に合わせて回り道をするより、自分の手で最初からやり直すほうが確かだと判断したからです。

「できます」を信じて3日を失った

もう一つ、こたえた出来事があります。2026年の春のことです。ChatGPTが「できます」と言うので、その言葉を信じて作業を任せました。ところが、実際にはできていませんでした。それに気づくまでに、かなりの時間を使っていました。当時の僕の言葉は、こうです。「僕3日ぐらい食らいましたよ」

AIは、できないことを「できない」と言わずに、できそうな返事をすることがあります。そして、うまくいかなかった後には、もっともらしい理由を付けてくる。この2つが重なると、社長の時間がどんどん溶けていきます。

何が分かったか

この2つの出来事で、AIの言葉との付き合い方が変わりました。1つ目は、AIの言い訳をうのみにしないこと。理由に根拠が無ければ、それは説明ではなく作り話かもしれない、と受け止めるようになりました。2つ目は、どのAIを軸にするかの選び方です。できない所を先に言ってくれるAIを、仕事の真ん中に置くべきだと分かりました。

そこで、Manus・Claude・Antigravityの3つを並べて使い、同じ日誌を3つに共有させることにしました。日誌はパソコンの中のファイルか、Notionに置きます。3つが同じ日誌を読めるので、途中で別のAIに切り替えても話が続きます。軸にしたのはClaudeとAntigravityです。Antigravityだけに頼ると暴走することがあって怖かったので、1つに任せきりにしない形にしました。

今日から真似できる手順

ここからは、AIの言葉を確かめながら使うための手順です。画面や機能は変わっていくので、考え方を中心に書きます。

1. 頼む前に「できない所」を先に聞く

作業を頼む前に、「この作業で、あなたにできないこと、自信がないことを先に教えてください」と聞きます。ここで正直に答えてくれるかどうかが、そのAIを軸にしてよいかの目安になります。

2. 「できました」には証拠を出してもらう

終わったと言われたら、何をどう確かめたかを書いてもらいます。作ったファイルの名前、変えた設定の場所、画面の写しなど、目で見られる物を出してもらうのが目安です。出てこなければ、まだ終わっていないものとして扱います。

3. 言い訳には「根拠はどこか」と聞き返す

途中で止まった理由を言われたら、「それはどこに書いてありますか」「何を見てそう判断しましたか」と聞き返します。答えが出てこなければ、その説明は脇に置きます。僕のように、最初から自分でやり直したほうが早いこともあります。

4. 日誌を残して、別のAIにも見せられるようにする

やったこと、うまくいかなかったこと、AIが言ったことを、1つのファイルに日付つきで書き残します。そうしておくと、別のAIに「この日誌を読んで、続きを手伝って」と頼めます。1つのAIの言うことだけを信じ続ける形から抜け出せます。

気をつけること

AIを疑えと言いたいわけではありません。AIは仕事の頼れる相棒です。ただ、AIの返事は、自信があるように見えても、確かめた結果とは限りません。特に、申請や手続きが絡む作業では、AIの「できます」「変わったからです」を、そのまま次の判断の土台にしないでください。確かめる手間は小さく、信じて走った後の取り戻しは大きい。この差を覚えておいてください。

もう1つは、1つのAIに任せきりにしないことです。同じAIに「本当にできていますか」と聞き直しても、同じ思い込みのまま「できています」と返ってくることがあります。怪しいと感じたら、日誌ごと別のAIに渡して、同じ作業を見てもらいます。2つの答えが食い違ったら、そこが確かめるべき場所です。日誌には、お客様の名前や連絡先のような個人の情報は書かないでおきます。作業の中身と結果だけで、AIの引き継ぎには十分です。

今から始める社長へ

AIとの付き合いで大事なのは、上手に頼むことより、返ってきた言葉を確かめる習慣です。「できます」と言われたら証拠を見る。言い訳をされたら根拠を聞く。それだけで、無駄にする時間はかなり減ります。そして、できない所を正直に言ってくれるAIを軸に選ぶ。僕が3日を失って覚えた順番を、最初から使ってもらえたらうれしいです。