場面3「AIの答えを、信じる前に確かめたいとき」 28/31本目
経理の入力は、判断のルールを書き出して、AIに先に点検させ、人が確かめる
教科書でいうと → 第6章「調べ物でだまされない」(解説動画つき)
毎月の経理の入力に、時間を取られていませんか。Excelの明細を見ながら、1件ずつ、どの科目にするかを考えて、会計ソフトに入れていく。この作業は、地道で、眠くなります。この記事では、僕が2026年の4月に、顧客の経理入力に提案した、判断のルール化とAIの点検を組み合わせる流れを、社長向けにまとめます。
Excelから、1つずつ分類して入力している
2026年の4月27日、僕は、ある顧客の経理の入力について提案しました。その会社では、Excelから1つずつ分類して、会計ソフトに入力していました。1件ずつ判断して、入力する。時間も手間もかかる仕事です。僕が考えたのは、人が1件ずつ判断するのではなく、判断の基準をルールとして書き出す、ということでした。
ルールを登録すれば、あとはパターンで回る
提案の中身は、こうです。まず、判断のルールを登録します。1回ルールを登録すれば、あとはパターンで回るようになります。そして、ルールに沿って、まずAIにチェックさせます。AIが上げてきたものを、そのあとで、人が確認します。僕の言葉でいえば「まずAIにチェックさせて、上がってきてから人間がチェック」です。
人が最後に確かめる意味
AIが先に点検して、人があとで確かめる。この順番が大切です。経理は、数字の間違いが、そのまま会社の損失や、税金の問題につながります。AIに任せきりにせず、最後は人の目で確かめる形にしておくと、安心です。人は、AIが「迷った」と印をつけたものや、普段と違うものに、集中して目を向けられます。全件を見るより、はるかに効率よく確かめられます。
自分の会社で試す手順
1. 迷う項目を、書き出す
毎月の入力で、「これは何の科目だろう」と迷う項目を、書き出します。迷う項目の数は、意外と少ないはずです。
2. 判断のルールを、文章にする
「取引先との打合せの飲食代は、会議費にする」のように、判断を文章にして、ルールとして一覧にします。ルールには、例外も書き添えておきます。
3. AIに、ルールを読ませて点検させる
ルールの一覧と、今月の明細を、AIに渡します。「ルールに合わない、あるいは判断に迷うものを、挙げてください」と頼みます。
4. 挙がったものを、人が決める
AIが挙げたものを、人が1件ずつ確認して、科目を決めます。決めた内容は、新しいルールとして、一覧に追加します。
ルールは、育てていくもの
最初から、完璧なルールを作ろうとしないでください。最初は、数個のルールで構いません。毎月の入力で出た新しい判断を、ルールとして足していくと、少しずつ、AIが点検できる範囲が広がります。ルールが育つほど、人が確かめる量が減っていきます。
経理の担当者が、変わっても回る
ルールが文章で残っていれば、担当者が替わったときも、引き継ぎが楽になります。今までは、担当者の頭の中にあった判断の基準が、紙に書かれた共通の決まりになります。経理の入力を、個人の経験に頼る仕事から、会社の決まりで回る仕事に変えられます。
よくある疑問:税理士に任せているので、関係ありませんか
税理士に任せている場合でも、会社側で、日々の入力の段階が整っていると、やり取りが楽になります。どんなルールで科目を決めているかを、税理士と共有しておくと、後からの確認が減ります。ルールの内容は、専門の人に確認してもらってから使うのがおすすめです。
ルールの一覧に、書いておきたい項目
ルールの一覧には、判断の基準だけでなく、いくつかの項目を添えておくと使いやすくなります。たとえば、「取引先の名前」「よく出る摘要の言葉」「選ぶ科目」「例外の条件」「ルールを決めた日」の5つです。日付があると、あとで見直すときに、古いルールを整理できます。
AIが点検した結果の見方
AIに点検させると、「ルールに合う」「ルールに合わない」「判断できない」の3つに分かれて返ってきます。一番時間をかけるのは、「判断できない」の部分です。人が決めて、新しいルールにします。「ルールに合う」ものも、最初の数か月は、全体の1割ほどを抜き打ちで確かめておくと、安心です。
月末に慌てないための、毎週の小分け
月末にまとめて入力すると、量が多くて大変です。毎週金曜に、その週の分だけをルールで点検する形にすると、月末の負担が小さくなります。小分けにすると、ルールに合わないものにも早く気づけます。
気をつけること
経理や税金の判断は、間違うと影響が大きいので、AIの答えだけで決めないでください。最後は、専門家か、担当者が確認する形を残します。また、取引先の名前や金額のような情報を、AIに入れてよいかは、使う道具の決まりを確かめてからにしてください。
今から始める社長へ
経理の入力は、人が1件ずつ考える仕事から、ルールで回す仕事に変えられます。まずは、毎月迷う科目を3つだけ書き出して、その判断のルールを1行ずつ書いてみるところから始められます。