場面3「AIの答えを、信じる前に確かめたいとき」 23/31本目
取引先が「AIに確認しました」と答えを持ってきた時は、質問の仕方と複数の答えを見る
教科書でいうと → 第16章「業種の仕事に当てはめる」(解説動画つき)
取引先から「AIに確認したら、こう言っていました」と言われたことはありませんか。その答えが、本当に正しいのか。どう受け取ればいいのか。迷う社長は多いと思います。この記事では、僕が2025年の12月に語った、同じAIでも答えが全く違うことと、複数の答えを比べて自分で判断する考え方を、社長向けにまとめます。
同じAIを使っているのに、答えが違う
2025年の12月12日、僕は「同じAI使ってて…全然違う」と語りました。取引先が「AIに確認しました」と、答えをそのまま持ってくることが、きっかけでした。同じAIを使っていても、質問のセンスで答えが全く変わります。その差は、使う人のリテラシーと、質問の仕方で決まる、と整理しました。つまり、AIが言ったから正しい、とは限りません。どう聞いたかによって、答えは変わるのです。
鵜呑みにせず、複数を比べてヒントを拾う
僕が大事にしているのは、複数の答えを比べて、自分で判断することです。1つの答えを鵜呑みにするのではなく、いくつかの答えを並べて見て、そこからヒントを拾います。共通している部分は、確からしい。食い違っている部分は、自分で確かめる。この見方ができると、AIの答えに振り回されません。
線を引いた言葉
もう1つ、僕が決めたことがあります。「AIに聞いて分かることを僕に聞かないで」と、線を引くようにしたのです。AIに聞けば分かることは、まず自分で聞いてから、相談に来てもらう。そうしないと、相談する側もされる側も、時間がもったいないからです。ただし、AIに聞いた結果を持ってくること自体は、悪いことではありません。大事なのは、その答えを、どう聞いて、どう確かめたかです。
取引先の「AIに確認しました」を受け取る手順
1. どう聞いたかを、尋ねる
「AIには、どんなふうに質問しましたか」と聞きます。質問の文が分かれば、答えがどの前提で出たのかが分かります。
2. 条件が入っていたかを、見る
業種、規模、地域、時期のような、自社の条件が質問に入っていたかを見ます。条件が抜けた質問の答えは、一般的な話になりがちで、自社には当てはまらないことがあります。
3. 別の聞き方で、もう一度聞いてみる
同じ内容を、条件を足して聞き直します。答えが変わるなら、元の答えは前提が足りなかった可能性があります。
4. 根拠の出どころを、出させる
AIに「その根拠はどこにありますか」と聞き、出てきた出どころを自分で開いて確かめます。出どころが見つからないものは、採用しないのがおすすめです。
自分がAIに聞くときも、同じ
取引先の話だけでなく、自分がAIに聞くときも、同じ考え方が使えます。最初の質問に、自社の条件を入れる。答えを1つで終わらせず、別のAIや別の聞き方で確かめる。根拠の出どころを見る。この3つを習慣にすると、AIの答えを、仕事の判断材料として使えるようになります。
質問のセンスは、どう磨くか
質問のセンスは、生まれつきではありません。うまくいかなかった質問と、うまくいった質問を並べて、何が違うかを見比べると、少しずつ分かってきます。僕が複数の答えを比べる習慣を持っているのも、その違いを拾うためです。1回の答えで結論を出さず、比べることを前提にするのがおすすめです。
よくある疑問:AIの答えは、全部が間違いということですか
そうではありません。AIの答えは、役に立つことが多いです。ただ、前提が抜けたまま答えが出ることがあるので、そのまま決定に使わず、一度確かめる。それだけの話です。疑うことが目的ではなく、使えるものとして仕上げる作業だと考えてください。
1週間で試す、答えを比べる練習
答えを比べる習慣は、1週間の練習で身につきます。月曜は、気になることを1つ決めて、AIに普通に聞きます。火曜は、自社の条件を入れて、同じことを聞き直します。水曜は、別のAIにも同じ質問をします。木曜は、3つの答えを並べて、共通する点と違う点を線で引きます。金曜は、違う点だけを、公式の資料で確かめます。この流れを1回やるだけで、答えの癖が見えてきます。
社内に広げるときの決まり
社員にAIを使ってもらう場合は、社内の決まりを1つ作っておくのがおすすめです。「AIの答えを人に伝えるときは、聞き方と確かめ方も一緒に伝える」という決まりです。こうしておくと、「AIが言ったから」という報告が減り、根拠のある相談が増えます。
気をつけること
お金、契約、法律、健康に関わる判断は、AIの答えだけで決めないでください。専門の人や、公的な窓口に、最後は確かめるのがおすすめです。また、取引先を責める形にならないよう、「どう聞いたか教えてください」という、穏やかな聞き方を心がけます。
今から始める社長へ
「AIに確認しました」と言われたら、答えより先に、どう聞いたかを尋ねてみてください。そして、自分がAIに聞くときは、1つの答えで終わらせず、別の聞き方でも試してみてください。