場面3「AIの答えを、信じる前に確かめたいとき」 20/31本目
AIに電話番を任せる前に、声と応答の速さを試しの電話で測る
教科書でいうと → 第16章「業種の仕事に当てはめる」(解説動画つき)
電話がかかってきても、手が離せなくて出られない。AIが代わりに電話に出てくれたら、どれだけ楽だろう。そう考える社長は多いと思います。僕もその1人です。この記事では、僕が2026年の9月にAIの電話を試した体験と、社長が電話番をAIに任せる前に確かめておきたいことを書きます。
かかった。でも、英語だった
2026年の9月、AIが電話に出る仕組みの試しをしていました。最初の設定は、僕の画面からしかできない所がありました。そこだけ自分でやり、残りの設定はAIに任せました。そして、日本の番号からの発信の試しをしました。電話は、ちゃんとかかりました。でも、流れてきた案内は英語でした。「かかった、でも、英語だった」。そのときの言葉です。仕組みとしてはつながっても、日本のお客様に使える形になっているかは、別の話でした。
費用は下がるが、応答が遅い
同じ月の終わりには、AIの電話の中の、AIが考えて答える部分だけを、別の仕組みで作る試作もしました。目的は、電話1本あたりの費用を下げることです。試作の結果、費用は大きく下がる見込みが立ちました。お客様の話を聞き取る部分も、日本語で全文が一致しました。ところが、応答が約2.9秒遅いと分かりました。電話で2.9秒の沈黙は、相手にとってかなり長く感じます。しかも、その仕組みだけでは、日本語の声を作れませんでした。声を作る部品が、次の課題として残りました。本番に乗せるのは見送りました。それでも、費用と速さを並べて判断できるようになったのは収穫でした。
分かったのは、電話は「つながる」だけでは足りないということ
この経験で分かったのは、AIの電話は、つながるだけでは使えないということです。
- 案内の言葉が、お客様の言葉になっているか
- 応答の速さが、会話として不自然でないか
- 声が、聞き取りやすく自然か
この3つがそろって、初めてお客様に出せる電話になります。どれか1つでも欠けると、お客様を戸惑わせてしまいます。
今日から真似できる手順
1. AIに任せたい電話を、1種類に絞る
まず、AIに任せたい電話を1種類に絞ります。予約の受付、営業時間の案内、よくある質問への答え。最初は、話の流れが決まっている電話から始めます。
2. 自分あてに試しの電話をかける
仕組みができたら、お客様の前に、自分の携帯から試しの電話をかけます。案内の言葉、声、応答の速さを、お客様になったつもりで聞きます。
3. 応答の速さを、時間で測る
こちらが話し終わってから、AIが話し始めるまでの時間を測ります。数字にしておくと、別の仕組みと比べる時に役立ちます。人どうしの会話の間よりはっきり長いと、相手は電話が切れたのかと思ってしまいます。
4. 社員や家族にも、かけてもらう
自分だけでなく、社員や家族にもかけてもらいます。自分では慣れてしまって気づかない、分かりにくい所が見つかります。「どこで戸惑ったか」を聞いて、直す所を書き出します。
費用と速さを、並べて考える
AIの電話は、仕組みによって、費用と速さと声の質が違います。安い仕組みは遅い、速い仕組みは高い、ということがよくあります。どれを選ぶかは、電話の種類で決まります。予約の受付のように会話が短い電話なら、少しの遅さは目立ちにくいかもしれません。込み入った相談の電話なら、速さと自然さが大事です。試作で測った数字を表にして並べると、どの電話にどの仕組みが合うかを考えやすくなります。
いきなり全部の電話を任せない
最初から、すべての電話をAIに任せるのはおすすめしません。営業時間外の電話だけ、予約の電話だけ、と範囲を決めて始めます。AIで答えきれない電話は、人につなぐか、折り返しの約束をする流れにしておきます。
お客様にどう伝えるか
AIが電話に出ることを、お客様にどう伝えるかも考えておきます。最初の案内で「自動の音声でご案内します」と一言伝えるだけで、お客様の戸惑いは減ります。人と話したいお客様のために、人につなぐ方法も最初の案内で伝えておくと安心です。AIが出ることを隠すより、はっきり伝えた方が、お客様との信頼は保ちやすいと僕は考えています。
試しの電話で聞くところ
試しの電話では、次の3つを聞くようにします。1つ目は、最初の案内です。言葉が日本語で、会社名が正しく、何の電話か分かるか。2つ目は、こちらの言い間違いや言い直しへの答え方です。お客様は、いつもはっきり話すとは限りません。3つ目は、話の終わり方です。予約が取れたのか、取れなかったのかが、相手に分かる形で終わるか。
気をつけること
試しの電話は、お客様の番号にかけないでください。自分や社員の番号で試します。電話の内容を録音したり文字にしたりする場合は、お客様への伝え方と、記録の扱いを先に決めてください。また、AIの電話には、使った分だけ費用がかかる仕組みもあります。試す前に、費用のかかり方を確かめておくと安心です。
今から始める社長へ
AIの電話は、つながっただけで喜ぶと、お客様の前でつまずきます。声と、言葉と、応答の速さ。この3つを、試しの電話で確かめてから任せてください。まずは、AIに任せたい電話を1種類だけ選ぶところから始めてみてください。