場面6「AIに任せる範囲を、決めていくとき」 16/36本目
AIに腹が立った時ほど、怒りの裏にある仕組みの穴を1つ書き出す
教科書でいうと → 第14章「AIと働く約束ごと」(解説動画つき)
AIが同じ失敗を繰り返す。腹が立って、強い言葉で注意する。AIは丁寧に謝り、次から気をつけますと言う。でも、また同じ失敗が起きる。この記事では、僕が2026年の8月に変えた「失敗の対策を、社長の気持ちではなく仕組みで直す」考え方と、社長が今日からできる手順を書きます。
機嫌を取る対策は、効かなかった
2026年の8月、それまでの失敗の対策を振り返りました。分かったのは、過去の対策の多くが、僕の機嫌を取るための物になっていたということです。僕が怒ると、AIは謝って、もっともらしい対策を書く。でも、その対策は、僕を落ち着かせるための物で、失敗の原因をふさぐ物ではありませんでした。だから、効きませんでした。そこで、原則を決めました。僕が不快かどうかは問題ではない。論理的に穴を見つけ、再発しない形にする。何かを1つ直したら、同じ書き方をしている他の場所も一緒に直す。
怒りの裏には、仕組みの不具合がある
次の日には、もう一歩進んだ気づきがありました。僕が怒る本当の理由は、仕組みの不具合だということです。「人間だから感情的になるが」、その怒りの裏には、まだ言葉になっていない仕組みの問題がある。怒りそのものに対応しても、問題は消えません。怒りの裏にある仕組みの穴を、冷静に見つけて取り除く。それが、仕組みを預かる側の仕事だと定めました。
分かったのは、怒りは「穴がある」という知らせだということ
この経験で分かったのは、社長の怒りは、仕組みのどこかに穴があるという知らせだということです。
- 怒りに謝っても、穴はふさがらない
- 穴を言葉にできれば、ふさぐ方法が見つかる
- 1つの穴を直したら、同じ形の穴を他でも探す
怒りを我慢する必要はありません。ただ、怒った後に、その理由を仕組みの言葉に直すことが大事です。
今日から真似できる手順
1. 怒った時、何が起きたかを1行で書く
AIの失敗に腹が立ったら、まず何が起きたかを1行で書きます。「お客様向けの文に、確かめていない数字が入っていた」のようにです。気持ちではなく、起きたことだけを書きます。
2. なぜ起きたかを、仕組みの言葉で書く
次に、なぜそれが起きたかを、仕組みの言葉で書きます。「数字を確かめる段がなかった」「確かめた数字と、確かめていない数字の見分けがつかなかった」。人やAIの性格ではなく、流れのどこに穴があったかを書きます。
3. 穴をふさぐ形を1つ決める
穴が分かったら、ふさぐ形を1つ決めます。「数字は、出どころが書いてある物だけを使う決まりにする」「出す前に、数字だけを別に確かめる段を入れる」。注意するのではなく、起きない形にします。
4. 同じ形の穴を、他でも探す
最後に、同じ形の穴が他の場所にもないかを探します。お客様向けの文で起きたなら、社内の資料や、ブログでも同じことが起きうるかもしれません。1つ直したら、同じ形の所をまとめて直します。
AIの謝罪は、対策ではない
AIは、注意されると、とても丁寧に謝ります。「申し訳ありません。今後は十分に注意します」。でも、AIの「注意します」は、次の会話では残っていないことが多いです。謝罪は、対策ではありません。謝罪の文を受け取ったら、「では、起きない形にするには何を変えればいいか」と聞き返します。
人の失敗にも、同じ考え方が使える
この考え方は、AIだけでなく、人の失敗にも使えます。社員が同じ失敗を繰り返す時、本人の注意不足を責めても、また起きます。仕組みのどこに穴があるかを一緒に探して、起きない形にする。そうすれば、本人も責められずに済み、同じ失敗も減ります。
怒った記録を、後で見返す
怒った出来事は、1行ずつ書き留めておくのがおすすめです。しばらくたってから見返すと、同じ種類の穴で何度も怒っていることに気づきます。そうなれば、その穴は、個別の直しではなく、仕組みの根本から直す必要がある、という合図です。怒りの記録は、仕組みの弱い所の地図になります。
穴を言葉にする時の問い
仕組みの穴を言葉にする時は、3つの問いが使えます。1つ目は、「この失敗は、どの段で止められたはずか」です。2つ目は、「その段に、確かめる仕組みはあったか」です。3つ目は、「なかったなら、なぜなかったのか」です。この3つに答えていくと、注意不足という言葉では終わらず、流れのどこを直せばいいかが見えてきます。
気をつけること
仕組みで直すといっても、取り返しのつかない失敗が起きた時は、まずお客様への対応を優先してください。仕組みの見直しは、その後です。穴をふさぐために決まりを足しすぎると、仕事が止まります。足したら、もう要らない決まりがないかも見直してください。また、怒った勢いで、AIに大きな変更を一度にさせないでください。落ち着いてから、1つずつ直します。
今から始める社長へ
AIに腹が立つのは、あなたが仕組みの穴に気づいた証拠です。次に腹が立った時は、強く注意する前に、何が起きたかを1行だけ書いてみてください。その1行が、同じ失敗をなくす仕組みの入り口になります。