場面3「AIの答えを、信じる前に確かめたいとき」 10/31本目
書類の初稿はAIに、点検は別のAIに。指摘が多すぎる時は社長が省く
教科書でいうと → 第6章「調べ物でだまされない」(解説動画つき)
取引先と交わす書類を作る。ひな形を探し、自分の案件に合わせて書き直し、目で何度も見直す。それだけで、3日から1週間かかってしまう。この記事では、僕が2026年の5月に試した「初稿はAI、点検は別のAI、最後の取捨は社長」という書類作りと、社長が今日から試せる手順を書きます。
初稿15分、点検込みで30分
2026年の5月、出張に関わる取り決めの書類を作る必要がありました。これまでなら、ひな形探しから書き直し、目での確認まで、3日から1週間かかる作業です。今回は、まずAIに初稿を作らせました。パソコンの中のノートには、打合せの文字起こしや相手の情報が入っていたので、事実関係がほぼ合った初稿が出てきました。次に、別のAIたちに点検と追記をさせました。初稿まで15分、点検を入れて30分。「そこまでも本当30分かかんないですよね」と話しています。最終的に、本文と別紙、説明用の紙までそろえるのに、合計1時間半ほどでした。相手の方にも感謝されました。
点検役のAIが、細かすぎる指摘を出してきた
ただし、点検の段階で1つ困ったことがありました。点検役の1つのAIが、大企業の書類並みの、とても細かい指摘をたくさん出してきたのです。全部を取り入れると、書類が重くなり、今回の取り決めには合わなくなります。そこで、今回は要らないと判断した指摘は、自分で省きました。
分かったのは、点検の指摘は「全部直す」ものではないということ
この経験で分かったのは、AIの点検の指摘は、全部直すための物ではなく、選ぶための材料だということです。
- 点検役のAIは、考えられる穴を全部挙げてくる
- どれを直すかは、案件の大きさと相手との関係で、社長が決める
AIは、案件の重さを知りません。小さな取り決めにも、大きな契約と同じ物差しを当ててきます。その物差しを調整するのが、社長の役目です。
今日から真似できる手順
1. 案件の情報を、先にまとめておく
まず、案件の情報をまとめておきます。相手の会社名、打合せで決まったこと、期間、やること、やらないこと。打合せの記録があれば、それも用意します。材料がそろっているほど、初稿の事実関係が合います。
2. 書く役のAIに、初稿を作らせる
まとめた情報を渡して、初稿を作らせます。「この打合せの内容で、取り決めの書類の初稿を作って」と頼みます。決まっていない所は、空けておくように伝えます。AIに条件を作らせないためです。
3. 別のAIに、点検させる
初稿を、別のAIに渡して点検させます。「この書類の、抜けている所、あいまいな所、相手と食い違いそうな所を挙げて」と頼みます。書いたAIと点検するAIを分けると、見落としが見つかりやすくなります。
4. 指摘を、3つに分けて取捨する
出てきた指摘を、「直す」「今回は省く」「相手に確かめる」の3つに分けます。案件の大きさに合わない細かい指摘は、省きます。判断に迷う物は、相手に確かめる側に入れます。
指摘を選ぶ時の物差し
指摘を選ぶ時は、2つのことを考えます。1つは、その穴が実際に問題になる見込みがどれくらいあるかです。起きそうにないことへの備えは、今回は省くことが多いです。もう1つは、その一文を入れることで、相手との関係がどうなるかです。細かすぎる条件を並べると、相手を疑っているように見えることがあります。書類は、相手との関係を守るための物でもあります。その目的に合う指摘だけを残します。
説明用の紙も一緒に作る
書類と一緒に、相手向けの説明用の紙を作ると喜ばれます。書類は正確さが大事なので、どうしても読みにくくなります。説明用の紙には、書類の要点を、やさしい言葉で1枚にまとめます。この紙もAIに初稿を作らせれば、短い時間で用意できます。
点検役のAIの選び方
点検役のAIは、書く役とは違う種類のAIにするのがおすすめです。同じ種類のAIだと、書いた時と同じ考え方で読むので、同じ所を見落としがちです。細かい点検が得意なAIを1つ、全体の読みやすさを見るのが得意なAIを1つ、という形で2つに見せるのも手です。指摘の種類が違うので、選ぶ時の材料が増えます。
気をつけること
取り決めや契約の書類は、法律に関わります。AIの初稿と点検は下書きの手段であり、内容が法律に照らして正しいかは、必要に応じて専門家に確かめてください。相手の情報や打合せの記録をAIに渡す時は、渡してよい範囲を先に決めてください。また、AIが出した条件や数字は、打合せで本当に決まったことかどうか、自分の記録と照らしてください。
今から始める社長へ
書類作りで時間がかかるのは、白紙から書き、1人で見直しているからです。初稿はAI、点検は別のAI、最後に選ぶのは社長。この分担にするだけで、何日もかかっていた作業が短くなります。次に書類を作る時は、まず打合せの記録を1つにまとめるところから始めてみてください。