場面1「AIの道具を入れて、使い始めるとき」 10/27本目
AIのプランを切り替えたら会話もファイルも消えた——切り替える前の控えの取り方
教科書でいうと → 第2章「最初の1つを頼む」(解説動画つき)
AIの道具を社員にも使わせようと、プランの切り替えを考えていませんか。切り替えれば、これまでの会話や作った資料はそのまま引き継がれる。普通はそう思います。僕もそう思っていました。そして、全部を失いました。この記事では、そのときに起きたことと、切り替える前にやっておくべき控えの取り方を書きます。
チームのプランに替えたら、全部消えた
2026年の初め、僕は Manus という AIの道具を、個人のプランからチームのプランに切り替えようとしました。切り替えた後、画面を開いて驚きました。これまでの会話、プロジェクト、作ったPDF、スライド。それが全部、消えていたのです。
データは新しいほうへ移っていませんでした。後で落ち着いて調べると、個人のアカウントとチームのアカウントは両方残っていました。切り替えれば、個人のほうに残っていた利用分は使い切れる、ということには気づきました。けれど、会話や資料をチームのほうへ移す方法は、その時点では分からないままでした。
驚いたのは、前の経験と違ったから
僕がここまで驚いたのには、理由があります。ChatGPT では、同じような切り替えをしたときにデータを移せたからです。だから今回も移るものだと、確かめもせずに思い込んでいました。当時の僕の言葉は「全て失うということに驚愕しました」です。
道具が違えば、切り替えの扱いも違います。ある道具で大丈夫だったことが、別の道具でも大丈夫とは限りません。当たり前のことですが、身をもって知りました。
切り替えは引っ越しと同じ
この件で身にしみたのは、プランやアカウントの切り替えは、引っ越しと同じだということです。引っ越しの前に荷物をまとめるように、切り替えの前に、残したい物を自分の手元に控えておく。そして、新しいほうに何が移って何が移らないかを、切り替える前に確かめる。この2つをしていれば、消えたとしても手元に控えが残ります。
今日から真似できる、切り替え前の手順
ここからは、AIの道具のプランやアカウントを切り替える前にやる手順です。画面や仕組みは道具ごとに違い、これからも変わります。ボタンの位置ではなく、何を確かめるかを書いていきます。
1. 残したい物を書き出す
まず、その道具の中に何があるかを書き出します。会話、プロジェクト、作った文書、スライド、画像。全部を残す必要はありません。後で見返す物、お客様に渡した物、もう一度作るのが大変な物に印を付けます。数が多ければ、今月使った物から先に見ていくと手が止まりません。
2. 手元に控えを取る
印を付けた物を、自分のパソコンやクラウドの保管場所に控えます。書き出しの機能があれば使います。無ければ、文書やスライドは1つずつ保存し、大事な会話は文章をコピーしてメモに貼ります。控えのフォルダは、道具の名前と日付を付けて1つにまとめておくと、後で探しやすくなります。フォルダの中は、次のように分けておくと見返しやすくなります。
- 会話: 大事なやり取りを文章で貼ったメモ
- 資料: 作ったPDFやスライド、文書
- 設定: 道具に覚えさせていた指示や、よく使う頼み方
3つ目の設定は忘れがちです。AIに毎回伝えていた前提や、うまくいった頼み方は、消えると作り直すのに時間がかかります。文章で写しておけば、新しいアカウントや別の道具にもそのまま貼り直せます。
3. 切り替えで何が移るかを確かめる
道具の案内やヘルプで、切り替えたときにデータがどうなるかを探します。「移る物」「移らない物」「元のアカウントがどうなるか」の3つが分かれば十分です。分からない項目が1つでも残るなら、まだ切り替えない、と決めておきます。見つからなければ、問い合わせ窓口に「個人からチームに替えたとき、会話や作った物は移りますか」と聞いてから切り替えます。英語の案内しか無ければ、その画面をAIに見せて聞いても構いません。
4. 切り替えた後、すぐに中身を見比べる
切り替えたら、その日のうちに中身を開いて、手順1の書き出しと見比べます。足りない物があれば、元のアカウントがまだ残っているうちに手を打てます。日が経つほど、何が消えたのかを思い出しにくくなります。僕のように、元のアカウントと新しいアカウントが両方残ることもあります。その場合は、どちらに何が入っているかを1枚のメモにしておくと、行ったり来たりしても迷いません。社員と一緒に使うチームのプランなら、社員にも「何が見えているか」を聞いて、見え方が揃っているかを確かめておくと安心です。
控えを取るときの注意
まず、控えの置き場所です。お客様の名前や連絡先が入った会話を控えるなら、社内で決めた保管場所に置き、社員の全員が見られる共有フォルダには置かないでください。次に、「前の道具で大丈夫だったから」で判断しないことです。僕がつまずいたのは、まさにそこでした。道具ごとに、毎回確かめる。手間に見えても、全部を失うよりずっと小さな手間です。最後に、切り替えの作業は、急ぎの仕事がある日を避けてください。消えた物を取り戻すのに時間を取られると、その日の仕事が止まります。
今から始める社長へ
AIの道具は、使い込むほど中身が増えていきます。会話の一つひとつが、会社の考えの記録になっていきます。だからこそ、道具の中だけに置いておくのは心細いことです。プランを替える、アカウントを替える、道具を乗り換える。そのどれの前にも、控えを手元に取る一手を挟んでください。僕は消えた物を移す方法が分からないままでしたが、この手順を先に知っていれば、慌てることは無かったはずです。