場面3「AIの答えを、信じる前に確かめたいとき」 17/31本目
公開まで自動にするなら、検査に合格した物だけ出す安全弁を付ける
教科書でいうと → 第6章「調べ物でだまされない」(解説動画つき)
作るところまでは自動になった。でも、最後の公開だけは人の手で押している。その人が忙しいと、できあがった物が出ないまま積み上がっていく。この記事では、僕が2026年の8月に決めた「公開まで自動にする、ただし安全弁を付ける」やり方と、社長が自動化の最後の一歩を考える時の手順を書きます。
動画にする作業が、途中で止まっていた
2026年の8月、社長向けの音声の配信を、静止画の動画にしてネットに出す流れを作っていました。ところが、動画にする作業が、途中のパソコンで止まっていました。人の手を待つ所があり、そこで流れが詰まっていたのです。そこで僕は、こう頼みました。「公開まで自動でやってほしい」。
合格した物だけ、自動で出す
ただし、何でも自動で出すわけではありません。決めたのは、機械の検査に合格した物だけを自動で公開する、ということです。検査に通らなかった物は、非公開のまま止めて、知らせが届くようにしました。これが安全弁です。合格した物は人の手を待たずに出ていき、不合格の物だけが人の前に来る。こうして、動画の配信が人の手なしで回るようになりました。
分かったのは、自動化の最後の一歩は「止め方」で決まるということ
この経験で分かったのは、公開まで自動にできるかどうかは、止め方を用意できるかどうかで決まるということです。
- 全部を人が確かめると、人が栓になって流れが止まる
- 全部を確かめずに出すと、おかしな物が外に出る
- 検査に合格した物だけを出し、不合格は止めて知らせれば、両方を避けられる
人の確認を「全部」から「検査に落ちた物だけ」に減らす。これが安全弁の考え方です。
今日から真似できる手順
1. 出す前に確かめていることを、書き出す
まず、今、人が公開の前に確かめていることを書き出します。長さは決まりどおりか、題は入っているか、音は出ているか、禁止している言葉は入っていないか。書き出してみると、多くは機械で確かめられることです。
2. 機械で確かめられる物を、検査にする
書き出した中で、機械で確かめられる物を検査にします。長さ、題の有無、ファイルの形、禁止の言葉。こうした物は、AIに頼めば確かめる仕組みを作ってくれます。機械で確かめられない物、たとえば中身の良し悪しは、別に考えます。
3. 不合格は、非公開で止めて知らせる
検査に落ちた物は、公開せずに止めます。そして、何が原因で落ちたかを、担当者に知らせます。止めた物は消さずに残しておき、直せばすぐに出せるようにします。
4. 最初は、自動で出した物を後から見る
仕組みを動かし始めたら、最初のうちは、自動で出た物を後から見ます。検査をすり抜けたおかしな物があれば、その原因を検査に足します。検査が育つほど、人が見る必要は減っていきます。
検査の数は、少しずつ増やす
最初から完璧な検査を作ろうとすると、いつまでも動き出せません。最初は、明らかにおかしい物だけを止める、少ない検査から始めます。動かしながら、すり抜けた物の原因を1つずつ検査に足していきます。
どこまで自動にしてよいか
公開まで自動にしてよいのは、自社の媒体で、後から非公開や削除ができる物です。自社のブログ、自社の動画、自社の音声の配信。おかしな物が出ても、気づいた時点で引っ込められます。お客様に個別に届くメールや、取り消せない発表は、自動で出す対象にしません。
知らせの受け取り方も決めておく
不合格の知らせが届いても、誰も見ていなければ意味がありません。知らせは、毎日見る場所に届くようにします。普段使っているメールや、社内の連絡の道具です。また、知らせを受けた人が何をすればいいかも決めておきます。「原因を直して、もう一度検査に通す」「直せない時は、その回は出さない」。知らせと、その後の動きをセットで決めておくと、止まった物が放置されずに済みます。
検査の例
動画の配信なら、置く検査は難しい物ではありません。動画の長さが決めた範囲に入っているか。題が空ではないか。音が最初から最後まで入っているか。説明の欄に決まった案内が入っているか。どれも、人が見れば数秒で分かることです。でも、毎日人が見るとなると、その数秒が積み重なり、忙しい日には飛ばされます。機械なら、毎回同じように確かめて、飛ばすことがありません。人がやると抜ける確認ほど、機械に任せる価値があります。
気をつけること
自動で公開する仕組みを作る前に、出た物を非公開に戻す方法を確かめてください。戻し方が分からないまま動かすのは危険です。検査に合格しても、中身の事実が正しいとは限りません。事実の確かめが要る物は、別の段を設けてください。また、公開する媒体の決まりや、使っている素材の権利も確かめてください。
今から始める社長へ
自動化の最後の一歩を止めているのは、「おかしな物が出たらどうしよう」という心配です。その心配は、検査と安全弁で小さくできます。まずは、公開の前に人が確かめていることを、紙に全部書き出してみてください。